~「他人は他人、自分は自分」と割り切れるか??
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
日頃は、ビジネス契約書専門(特にIT系に強い)の行政書士として、中小・ベンチャー企業様の成長発展のお手伝いをさせていただく傍ら、埼玉県川口市にあるコミュニティFM局、FM Kawaguchiにて『ちょいワルMonday』という番組(毎月第2、第4月曜日19:00~生放送)の構成作家兼パーソナリティとしての活動もさせていただいております。
今回はこちらの本のご紹介です。
この本を読もう!と思ったきっかけは、新聞広告。
いつも行く近所の書店で売れ筋の棚にいつも置いてあるので、相当売れているのだろうなーと思っていたら、20万部以上売れているようです。
小説を読むのは久しぶり。
小説は登場人物の「心の中」が言語化されているので、ビジネスにも役に立ちます。
行政書士として契約書を作成する際、これまでに全く接したことのない業界からのお問い合わせがあった際には、その業界についてかかれた小説を読んで、業界知識をインプットしてから、初回の面談に臨んだりすることもあります。
それはさておき、まず登場人物。
・就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)
・結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)
・習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)
・一千万円を貯めた祖母・琴子
この一家を取り巻く「よくありがちな」金銭問題がメインストーリーです。
しかも、その金銭問題を登場人物の年代とリンクさせて物語が進んでいくので、今の自分のポジションが近しい姉・真帆の話には共感する(というか、お金の問題にきちんと向き合わなきゃと思ったりも)ところがあり、いつかはおとずれる祖母・琴子の話には、将来、こんなことが待ち受けているんだとちょっと怖くなったり…
私としては、「ここまで日常のよくある出来事を分かりやすく言語化できるなんてすごい!」と感じつつ、とても面白く一気に読みました。
通販サイトのレビュー欄には
・タイトルと内容とが一致していない
・『三千円の使い方』というタイトルならば、お金の有意義な使い方や、その考え方をもっと具体的に数字で出すべき
みたいなコメントともに、低評価がついてしまったりもしています。
確かに、その一面はあるのですが、この本がいわゆるハウツー本ではなく、小説であることを考えると、この評価はちょっと違うかな?と思います。
主人公の美帆は、参加費3000円の著名なファイナンシャルプランナーの講演に行って、こんなことを聴きます。
「今日はこれだけ。これだけ覚えて。あなたの脳裏に刻みつけて欲しいの。さあ、八✕十二はいくつですか」
『三千円の使い方』原田ひ香(中公文庫)p.55
九十六!という声が会場から上がる。
「はい。ご名答。毎月八万円ずつ、それにボーナス時に二万ずつ貯めます。そうするとあら不思議。一年に百万円が貯まっちゃうの!そして、一年に百万ずつ貯められれば、三十代のあなたは六十歳の定年までに三千万、二十代のあなたは四千万貯まります。さらにそれを三%複利で運用できれば税抜きで約四千九百万と約七千七百四十万になります。もう老後は心配なし!」
若い時分に、8万円も貯金するのはちょっと無理すぎない?と思いつつ、複利って凄い!!というのが率直な感想。
ここから、物語は、登場人物それぞれの「人生」にスポットを当てて進んでいきます。
母・智子の友人(千さと)は、熟年離婚について考えています。
千さとがたまたま見た昼のテレビ番組での熟年離婚特集での「夫が離婚を考えている時の特徴四箇条」が面白い。
①急に帰宅が遅くなることが続く。
『三千円の使い方』原田ひ香(中公文庫)p.229
②携帯電話、スマートフォンを風呂場に持ち込む。
③妻の収入や貯金をやたらと聞きたがる。
④パソコンやスマホで、不動産を探している。
これは本当かどうかは分かりませんがwこういった小話もたくさんあり、ストーリーに彩りが添えられています。
この本で私が感じたことは、作家の垣谷美雨さんが書かれている解説のタイトルそのもの。
「他人は他人、自分は自分」と、あなたは心の底から割り切れていますか?
『三千円の使い方』原田ひ香(中公文庫)p.339
お金と人生について真剣に考える機会を作るにはぴったりの本かと思われます。
私が、構成作家兼パーソナリティとして参画しております、
FM川口『ちょいワルMonday』という番組(毎月第2、第4月曜日19:00~生放送)の5月23日放送
「ちょいワルオーディオブック」のコーナーでこの本を取り上げました。
以下のリンク(stand.fm;スタエフ)の33:00~が、この本についての話となっておりますので、ぜひお聴きください。他のパーソナリティと楽しくこの本についての解説をしております。
YouTube版はこちら。
YouTubeの方ではスタートからこの本についての解説です。
最後まで、お読みくださりありがとうございました。
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