書評

『映画を早送りで観る人たち』稲田豊史(光文社新書)

ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
日頃は、ビジネス契約書専門(特にIT系に強い)の行政書士として、中小・ベンチャー企業様の成長発展のお手伝いをさせていただく傍ら、埼玉県川口市にあるコミュニティFM局、FM Kawaguchiにて『ちょいワルMonday』という番組(毎月第2、第4月曜日19:00~生放送)の構成作家兼パーソナリティとしての活動もさせていただいております。

最近読んだこちらの本のご紹介です。

新聞広告を見て、タイトルに惹かれ、その場でポチ。
新聞読むのもスマホ、本を注文するのもスマホ。便利な世の中になったものです。

それはともかく、私自身、特に年上の方々から「早口だからもっとゆっくり喋ってくれないか?」とご注意いただくことが結構あり…結構コンプレックスに感じることもありました。
近ごろ、20代~30代前半の若い方々と仕事をご一緒する機会が続いていて、「大森さんの話し方ってテンポよくて聴きやすいですね!」と好意的に受け取っていただけるようで、ある方に、なぜ聴きやすいのか深掘り質問してみると…

「YouTubeの『1.5倍速』と同じテンポなので」

と(声の質がいいとか期待してたんですが…ww)。

時代の変化ともに、コミュニケーションのあり方も変わっているのかな?と感じるとともに、この『1.5倍速』のワードが気になっていたところに、この本の帯。買わないわけにはいきませんでした。

著者の稲田さんは、1974年愛知県生まれ。ライター、コラムニスト、編集者。
私よりちょっと上の世代です。

私自身ひねくれ者なので…w
本のタイトルの通り「早送り」で読もうとしたのですが、「若者世代(Z世代)」をオジサン目線でぶった切っているのかな??と思いきや、フラットな視点で、現代を上手に切り取ってるなーと思い、じっくり読み込んでしまいました。

この本で、私が学んだ3つの言葉をシェアします。

まず「Z世代」

1990年代中盤以降に生まれた世代を指すようです。
アメリカで、1960年代中盤~1980年頃生まれが「X世代」と名付けられたことに始まり、
その後の1980年頃~1990年代中盤生まれが「Y世代(ミレニアル世代)」
それに続く世代という意味で「Z世代」と呼ばれているよう。
2020年代半ばまでに多くのZ世代が社会に出て「主役」となっていくため、社会や経済に対して与える影響が大きいことから、注目されているよう。

新聞を読んでいると、確かに「Z世代」という言葉が、マーケティングに関する話題と絡めてよく使われているようになってきています。

この「Z世代」
私たちとちがって、生まれた時点でインターネットが利用可能な、いわゆるデジタルネイティブの始まりの世代と言われています。

本書によれば、

・SNSを使いこなす
・お金を贅沢に使うことには消極的
・所有欲が低い(モノ消費よりコト消費)
・学校や会社との関係より、友人など個人間のつながりを大切にする
・企業が仕込んだトレンドやブランドより、「自分が好きだから」「仲間が支持しているから」を優先する
・安定志向、現状維持志向で、出世欲や上昇志向があまりない
・社会貢献志向がある
・多様性を認め、個性を尊重しあう

といった特徴があるようです。

次に、「推し」
新語に強い『三省堂国語辞典(第8版)』を引いてみますと載ってました!

さすが『三省堂国語辞典』!!


他の辞書には載ってる辞書と、載っていない辞書が。

本書によれば、従来の「オタク」(その道のプロフェッショナル)という概念と若干異なり、「ただ単純に好きだという謙虚な気持の表明」といった意味合いで使われることが多いそう。
「にわか」でも安心して使えるところに、若者のニーズがあるよう。
確かに「オタク」はハードル高い。

最後に「タイパ(タムパ)」
これは、さすがの『三省堂国語辞典』にも載っていない言葉なので、最近使われるようになってきた言葉なのでしょう。
近ごろ新聞でちょくちょくみかけるようになってきました。

これは「タイムパフォーマンス」の略で、いわゆるコスパの時間バージョン。
いわゆるサブスクで、安価で大量のコンテンツを「消費」できるようになってくると、「ムダな時間は悪」と。この気持は何となくわかるなあ。

冒頭の『1.5倍速』の話に戻りますと、私よりも上の世代は、同じ契約書の内容を説明するでも、ゆっくり丁寧にご説明差し上げるのが好まれる一方、下の世代は、さっくりと要点を絞って当初いただいていた時間よりも短く説明を終わらせるのが好まれることが多いように感じます。

個人的には、「デジタルネイティブ」か否かというのが大きく影響しているような。

私の娘世代(現在小2)になると、小さな頃からオンライン授業ですから「リモートネイティブ」??
さらに変わってくるのでしょうね

それはともかく、どこかで「社会を変えるのはバカ者、よそ者、若者のいずれかだ」と耳にしたことがあるのですが、その一角を占める『若者』の一般的な特性を学ぶにはもってこいの本なのではないでしょうか。

こちらの本につきましては、私が、構成作家兼パーソナリティとして参画しております、埼玉県川口市にあるコミュニティFM局、FM Kawaguchiにて『ちょいワルMonday』という番組(毎月第2、第4月曜日19:00~生放送)の「ちょいワルオーディオブック」というコーナーで取り上げました。

-パーソナリティ・しーたけ村長:40代中盤 X世代
-私(やっちゃん):40代 X~Y世代
-FM川口DJ・まりちゃん先生:30代 Y世代
-ゲスト・ピカりん:20代 Z世代

ときれいに「世代」がばらけていますので、それぞれの意識の違いなんかも浮かび上がってきて、面白かったです。
こちら(stand.fm)にアーカイブがありますので、お聴きいただければ幸いです。
「ちょいワルオーディオブック」のコーナーは、30:00頃~はじまります。



最後まで、お読みくださりありがとうございました。

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