~法人成りしているかどうか簡単に確認する方法
ビジネス法務コーディネーター®大森靖之です。
日頃は、ビジネス契約書専門(特にIT系に強い)の行政書士として、中小・ベンチャー企業様の成長発展のお手伝いをしております。
1.よくあるご相談
経営者の方から、
「何度も期日までに振り込まれず、代金の回収ができない相手がいる」
「ホームーページや名刺に、『●●株式会社』や『代表取締役』と書いてあったので法人成りしているものと思って信用して取引をした」
「でも、専門家に依頼してよくよく調べてみたら、そんな法人など実在しないことがわかった」
「法人成りしているかどうか、取引開始前に簡単に調べる方法はないのか?」
こういったご質問をいただくことがあります。
「法人成りしていれば信用がおけるのか?」これについては必ずしもそうは言えない面はあります。
しかし、ホームページや名刺上は、あたかも法人成りされているかのようになっているのにもかかわらず、実態の伴っていない(法人成りしていない)相手との間で、法的なトラブル(特に代金回収にかかわること)が生じやすいように思われます(あくまで弊所調べ)。
以下、専門家に依頼せずとも、「取引相手は本当に法人成りしているのか?」について簡単に調べられる方法を2点ほど挙げたいと思います。
2.国税庁法人番号公表サイトで検索してみる
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
まずは上記の「国税庁法人番号公表サイト」です。
個人と同様、法人にも「マイナンバー」的なものが付与されています。これが公表されているサイトになります。
こちらでは、商号(社名、法人名)を検索窓に入力すると
・法人番号
・商号又は名称
・所在地
・変更履歴情報等
の4項目が表示されます(全国対応)。
こちらで何らの表示がない場合には、「法人成りされていない」という可能性も出てきます。
その場合は、相手に確認する、あるいは以下で述べる「登記簿謄本」を入手してさらく詳しく調べる必要があります。
この、国税庁法人番号公表サイト、簡単に検索でき、もちろん無料で使用できますので、「この相手、本当に法人成りしているの?」と感じたら、使わない手はないですよね。
3.登記簿謄本を手に入れる
ざっくりと申し上げれば、
・商号(法人名)
・本店(法人の所在地)
・役員関係
・成立年月日
・目的
など、法人(会社)の基本的な事項は、国が商業登記という制度で情報管理をしています。
その情報が書き写されたものが登記簿謄本(登記事項証明書)です。
こちらは、
・法務局(窓口)
・「登記情報提供サービス」などのサイト
などから誰でも、どの法人でも、入手することができます(有料)。
【ご参考】登記情報提供サービス
上述の国税庁法人番号公表サイトでは、「代表者は誰なのか?」「役員は何人いるのか?」「いつできた会社なのか?」については、分かりません。
また、各種の「変更履歴」、例えば、本店や役員がいつ変わったか?コロコロ変わっていないか?についての記載もありません。
このあたりの情報は、「信用」を推し量る上で重要な情報だったりします。
この「推し量り方」については、こちらの本に詳しく書いてありますので、ぜひご参照ください。とても面白く、実用的な内容で、私も月に何度も読み返します。
実際にこの本で学んだことを、ご相談様へのアドバイスに展開したところ、
「アドバイスを踏まえて取引をしなくて良かったよー」
と感謝のお言葉をいただいたことが何度もあります。
登記簿謄本上の情報は限られているのですが、情報を組み合わせ、掛け合わせることによってインテリジェンスになり得る。そんなことを教えてくれる本です。オススメです。
それはともかく、国が法人(会社)の基本的な事項を一律管理している国は珍しいようです。
登記簿謄本は、敷居が高いように思われますが、上述のように誰でも、比較的簡単な手続で、どの法人でも入手することができますので、積極的に利用しいものです。
4.音声解説
stand.fm「契約書に強くなる!ラジオ」では上記についての音声解説をしております。
文字だけでは表せない微妙なニュアンスを気取らずにお伝えできるのが音声配信の魅力です。
「ながら視聴」でも一定の知識を得ていただけるようにお話ししておりますので、一度お聴きいただければ幸いです。
最後まで、お読みくださりありがとうございました。
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