書評

『水曜日は働かない』宇野常寛(集英社)

ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
日頃は、ビジネス契約書専門(特にIT系に強い)の行政書士として、中小・ベンチャー企業様の成長発展のお手伝いをさせていただく傍ら、埼玉県川口市にあるコミュニティFM局、FM Kawaguchiにて『ちょいワルMonday』という番組(毎月第2、第4月曜日19:00~生放送)の構成作家兼パーソナリティとしての活動もさせていただいております。

最近読んだこちらの本のご紹介です。

「水曜日が休みになると1年365日がすべて休日に隣接する」

サブタイトルに惹かれました。
「水曜休み」のライフスタイル、凄く快適なんだよなーということを思い出し…

高校生の頃、大学生になったばかりの部活の先輩から
「大学生って、時間割の決め方に裁量があるので、平日に休みを作っておくと何かと便利だぞ」
とのアドバイス。
私が大学1年生となり、いざ時間割を作る際に、このアドバイスを思い出し、試しに週の真ん中水曜日に休みを入れてみるか!と実践してみたところ、これが実に快適。

水曜は学校には行かず、近所の図書館に行ったり、平日の街をブラブラしたり、家にいると光熱費がかかるのでw「一筆書き」で一日中ダラダラ電車に乗りながら本を読んだり、いつもやってるのとは違うアルバイトをしたり…とお金がないなりに結構楽しんでいました。

大学2年生の時は、試しに「月曜休み」にして「毎週3連休」にしてみたけれど、休みが続くと逆に飽きてしまって、大学3年生から再び「水曜休み」にして、大学4年生も「水曜休み」を継続。

こういう次第なので、サブタイトルだけを見て「またあの頃のような快適なライフスタイルにできたらなあ」と共感し、即購入。こんな次第です。

著者の宇野常寛さんの略歴です。

1978年生。批評誌<PLANETS>編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)…(以下略)

『水曜日は働かない』宇野常寛(集英社)裏表紙

私と同年代の方のようです。
ご著書のタイトルは書店で目にしたことがあります。

さて、本の中身。

残念ながら「水曜休みの快適さ」について語り尽くす内容ではありません。
主に日常の中からの気づきについて、著者独自の着眼点(これが非常に鋭い)からのエッセイ集です。

著者ご自身、元々は夜型の生活で仕事が終わったら夜の街に繰り出すというのがルーチンだったのが、コロナ禍を経て、朝型に変えたら超快適!みたいなくだりがあり、私自身もまさにそうなので共感の連続。
特に、以下の箇所はホントにその通りだなと感じました。
ちょっと長いですが引用します。

大企業の幹部や中小企業の社長には、自分が優位な立場から取るコミュニケーションが気持ちよくて、会議や飲み会を手放せなくなっているケースが多い。しかしそこにあるのは、この国の同調圧力が強い社会を象徴するメカニズム以上のものではない。そして、場の空気に流される人間は歯車やネジのように交換可能な部品としては機能するが、何かを創造することはできない。それはこの国の「失われた30年」が証明しているはずだ。社会の潤滑油としての「飲み二ケーション」は単に人間の創造性を殺してよりネジや歯車に近づけて生産性を上げる時代遅れの「仕事」への最適化に過ぎないように僕は思う。
僕はそもそもお酒を飲まない。そしてある時期から「飲み会」には行かないことにしている。そして、実際に「飲み会」に出なくなってつくづく思うのだけれど、仕事の話は昼間に、シラフで話しても、いやむしろその方が盛り上がる。それくらいじゃないと、結局いいものは作れない。…【以下略】

『水曜日は働かない』宇野常寛(集英社)p.44

確かに、契約書の専門家としての立場で「今度コラボしよう!」というお話を色んなところで耳にしますが、お酒の席で盛り上がったことはほぼ実現することはないのかなーと。
むしろ、商談だったりちょっとした打合せの中から生まれたアイデアからコラボに至る、こういったケースが圧倒的に多い印象です。

「仕事の話は昼間に、シラフで話しても、いやむしろその方が盛り上がる。それくらいじゃないと、結局いいものは作れない。」
これはどんな仕事にも共通することなのではないでしょうか。

「お酒は仕事と絡めず、シンプルに気のおけない仲間と楽しくいただくものだ」
これ、会社員時代の上司の口癖ですが、改めてこのブログで文字にすると核心ついているなと。

ちょっと話題は変わりますが、仕事のお酒絡みでこんな私自身のエピソードも。

中学高校とソフトテニス部に所属していて、LINEで繋がっている当時ペアを組んでいた同級生に上記の懐かしエピソードを送ってみたところ…

「若い頃はアルコール無しでも本音で腹を割って話せたのに、大人になると何で酒が必要になるんだろ。実は酒の席で話していることは本当にどーでもいい話で、真に相手に向き合っていないんじゃないかなー」

と哲学的な返信。 確かにそうかもしれん。

ともかく、お酒エピソード以外にも、著者の着眼点は鋭く、私たちの日常生活に新たな気づきを与えてくれることはもとより、いろいろ考えさせられるエッセイが満載。

この暑い夏、思考を深めたい方にはピッタリの本だと思います。

最後まで、お読みくださりありがとうございました。

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