ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
目次
- 1. はじめに
- 2.【2025年12月時点】社長が突然亡くなったとき、会社に起こるリアル(2025.12.21一部改編)
- 3. 【最新手続対応】会社をたたむ(解散・清算)までの流れ
- 4. 【2026年版】「休眠会社」という選択肢の実情と注意点
- 5. 契約解除リスクと突然の“信用不安”に備えるために
- 6. いま元気なうちにできる、やさしい備えの話
- 7. まずは情報の整理から。今日からできる“見える化”のすすめ
- 8. おわりに
1. はじめに
「自分がもし、突然いなくなったら……うちの会社はどうなるんだろう?」
そんな問いかけを、これまで何度か心の中で繰り返してきた一人社長の方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、2025年5月時点の法制度や実務の流れを踏まえながら、一人会社の代表者が急逝した場合に起こりうることと、その備え方について、わかりやすく解説します。
2021年9月「NPO法人さいたま起業家協議会」の起業講座で他士業の先生とともにお話しした内容をもとに、最新情報をアップデートしながらまとめていますので、「いざというときの参考にしたい」「今のうちに整理しておきたい」という方にとって実務的なヒントになれば幸いです。
2.【2025年12月時点】社長が突然亡くなったとき、会社に起こるリアル(2025.12.21一部改編)
一人会社(社長が唯一の株主・代表)の場合、突然の死亡が会社の運営に与える影響はとても大きくなります。
代表者がいなくなると、次のようなことが起きるかもしれません:
- 銀行口座が凍結され、出金や引き落としができない
- 社内の誰も契約や発注の判断ができない
- 取引先との連絡手段が絶たれる
- 未納税金や請求対応が遅れ、信用問題に発展する
つまり、会社は「存在」していても、「動かせない状態」になってしまうのです。
3. 【最新手続対応】会社をたたむ(解散・清算)までの流れ
「社長が亡くなったから、会社をやめる」と思っても、実はすぐにできるわけではありません。法人には法人としての「終わらせ方」があり、それに沿った手続きが求められます。
特に、一人会社の社長が突然亡くなったケースでは、誰がその手続きを進めるのかという問題も出てきます。
会社をたたむときの流れ(廃業ステップの概要)
| ステップ | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 株主総会での決議 | 「会社を解散する」と正式に決めます | 株主が複数いる場合は話し合いが必要です |
| ② 清算人の選任・登記 | 会社を整理する人(清算人)を決めて、登記します | 通常は元社長が務めますが、死亡時は別の人を選任します |
| ③ 各所への届出 | 税務署、市役所、年金事務所などに「会社を解散します」と届け出ます | 税金や社会保険の手続きが必要です |
| ④ 官報での公告 | 債権者に「名乗り出てください」と告知します | 2ヶ月以上の掲載期間が必要です |
| ⑤ 解散時の決算と申告 | 決算書を作成し、税務署に申告します | 税理士さんにお願いするのが一般的です |
| ⑥ 残った財産の分配 | 債務処理後、余剰資産を株主へ | 不動産や車両の名義変更も必要です |
| ⑦ 清算結了の株主総会 | 清算終了を報告する株主総会を行います | 報告書を作って保管します |
| ⑧ 清算結了の登記 | 「会社を完全に閉じました」という登記を行います | これで法人格が消滅します |
| ⑨ 最後の確定申告 | 清算後の税金を申告します | 会社としての“最後の仕事”です |
※上記はあくまで一般的な概要です。個別具体的な事例によって変わってくる可能性もあるため、詳しくは顧問税理士などの専門家におたずねください。
4. 【2026年版】「休眠会社」という選択肢の実情と注意点
「完全にやめるのはちょっと…」という場合、会社をいったん休ませる「休眠会社」という選択肢もあります。
これは、法人としての登録はそのままに、実際の事業活動を停止する制度です。
メリット
- 法人税や消費税の納税義務が免除される(収入がなければ)
- 許認可の再取得が不要なので、事業再開がしやすい
- 解散・清算ほどの手間やコストはかからない
デメリット
- 固定資産があれば税金が発生する
- 毎年、税務署等への簡易申告や登記確認が必要
- 登記の放置が続くと「みなし解散」の対象になる可能性あり
また、社長が亡くなっている場合、「休眠の届出すらできない」状態になるリスクがあるため、必ずしも万能な方法ではありません。
5. 契約解除リスクと突然の“信用不安”に備えるために
契約書によっては、以下のような条項が盛り込まれていることがあります。
「代表者の死亡・解散・破産があった場合、契約を直ちに解除できる」
このような条項があると、社長の急逝が即、契約終了につながる可能性もあります。
結果的に…
- 進行中の取引が停止
- 未払い・未収金が清算できず信用問題に
- 取引先から損害賠償を請求されるケースも
「万が一」は、契約の世界でも無関係ではありません。
6. いま元気なうちにできる、やさしい備えの話
今のうちから、少しだけ未来の準備をしておけば、もしもの時にも周囲が困りません。
代表的な備えはこの2つです:
● 公正証書遺言
会社の株式や預金、不動産などの引き継ぎ先をあらかじめ書面に残しておく制度。公証役場で正式に作成すれば、信頼性も高くスムーズに手続きできます。
● 死後事務委任契約
葬儀、ペット、SNSアカウント、役所手続きなど、「財産以外のこと」を信頼できる人に託す契約。生前のうちに結んでおくことで安心につながります。
7. まずは情報の整理から。今日からできる“見える化”のすすめ
いきなり法的な手続きを始めるのが難しい方も、以下のような“情報の見える化”から始めるとスムーズです。
- 取引先一覧や連絡帳の作成
- 銀行・クラウドサービスのIDやパスワードの記録
- サブスクリプションや契約サービスの洗い出し
- 自宅・事務所に保管している書類の整理
「誰かが見ればわかる状態」にしておくだけでも、後に残される人にとっては大きな安心になります。
8. おわりに
本記事の内容は、2025年5月現在の法制度・実務運用に基づいて執筆しています。
法令や制度は今後も変化する可能性がありますので、ご自身の状況にあわせて、専門家に確認しながら進めることをおすすめします。
「自分がいなくなっても、会社も家族も困らないように」
そんな思いを、今このタイミングで少しだけ形にしてみませんか?
あなたの会社と大切な人を守る一歩として、本記事がお役に立てば幸いです。
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