ビジネス法務

【契約書のトリセツ】印紙の消印ってなに?実務での疑問をわかりやすく解説!(2026年版)

ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。

目次

本シリーズ「契約書のトリセツ」では、
契約書にまつわる基本的な知識や実務上の注意点を、
初心者の方にもやさしく、わかりやすく解説しています。
毎回ひとつのテーマを取り上げ、現場で役立つ視点をお届けします。


1. はじめに

今回は「印紙の消印」について、できるだけわかりやすくご説明します。

「印紙って貼るだけでいいの?」「押すハンコは何でもいいの?」「電子契約ならどうなる?」 そんなよくある疑問に、国税庁の公式見解をもとにお答えしながら、実務で気をつけたいポイントや電子契約の利点についてもご紹介します。


2. 「印紙」って(2026.12.21一部改訂)

まず大前提としてお伝えしたいのは、印紙とは「印紙税法」に基づいて納める税金であるということです。 契約書や領収書など、一定の取引文書を作成した際には、印紙を貼って税金を納める必要があります。

詳しくは、国税庁のホームページの「印紙税の手引」をご参照ください。


さて、本題です。

契約書に印紙を貼っただけでは終わりではありません。印紙税法第8条第2項では、「文書と印紙にまたがって、はっきりと消印しなければならない」とされています。

この“消印”とは、印紙を再使用されないように「これは使いました」という証を残す行為です。郵便の切手にスタンプを押すのと似ていますね。


「契約書の署名欄に押されている代表印(丸印)じゃないとダメなの?」「社員(角印)じゃだめなの?」「担当者が押してもいいの?」 そんな疑問も多く寄せられますが、消印をしてよいのは文書の作成者だけではありません。

国税庁の見解では、以下の人が消印してOKとされています。

  • 文書の作成者
  • 代理人
  • 使用人
  • その他の従業者

つまり、契約実務を担当している社員さんが消印をしてもOKです。


はい、消印は「印章」または「署名」で行うことになっています。署名は自筆である必要がありますが、氏名や通称、会社の商号などでも構いません。

ただし、次のような方法はNGです。

  • 「印」と表示する
  • ボールペンで斜線を引く
  • 鉛筆や消せるペンを使う

これらは消印とは認められないので注意してください。


代表印(丸印)じゃないとダメ?と思われがちですが、実はそうでもありません。

国税庁では、次のような印でも消印として問題ないとしています。

  • 通常の印判
  • 日付入りのスタンプ
  • 会社名や役職名が入ったゴム印

平たく言えば、「誰が押したかがわかって、再使用をできなくする印」ならOKです。


消印を押すときは、以下のポイントを守りましょう。

  • 印紙と契約書本文にまたがるように押す
  • 誰が押したかが見てわかるようにする
  • 消せない方法で行う(鉛筆・消えるペンはNG)

このようにしておけば、税務上の要件をしっかり満たすことができます。


たとえば甲社と乙社が契約書を取り交わす場合、印紙に両方が消印しなきゃいけないと思われがちですが、実際にはどちらか一方が行えばOKです。

これは、国税庁が「共同で作成した文書については、作成者のうち1人が消印すればよい」と明記しているためです(基本通達第64条)。


ここまでお読みになって、「ちょっと手間だな…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方におすすめなのが「電子契約」です。

電子契約のメリット

  • 紙の契約書を作らないので、印紙を貼る必要がありません!
  • 当然、消印も不要!
  • 契約の締結・保存・管理がすべてオンラインで完結!

印紙税コストも大きく削減

  • 請負契約書(2万円の印紙) × 年50件 → 年間100万円の削減
  • 業務委託契約書(4000円の印紙) × 年30件 → 年間12万円の削減

会社全体で見れば、大きなコスト削減になります。


チェック項目確認すること
印紙は契約書本体に貼られているか別紙に貼るのではなく、契約書本体と一体であること
消印は印章または署名で行っているかボールペンの斜線や「印」と書くだけの対応は不可
誰が押したかが判別できるかゴム印・角印でも判読性があれば問題なし
両者の消印が必要か一方の作成者または関係者で問題なし

消印の取り扱いは、ちょっとしたミスが後々のトラブルにつながることもあります。ですが、正しい知識があれば対応は難しくありません。

  • 消印は契約実務を担当している社員さんが行ってOK
  • 署名でも良いが、斜線や鉛筆などはNG
  • ハンコの種類も限定されない(角印やゴム印も可)
  • 当事者のうち一方だけで消印すればOK
  • 電子契約なら印紙・消印の手間自体が不要に

ちょっとした知識が、日々の業務の安心につながります。 この記事が、皆さまの業務における参考になれば幸いです。



【執筆者】

ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
現場で実際に使える判断基準を前提に、契約実務を整理しています。


【ご質問受付中】

「この場合はどう考える?」「ここが気になる」
といったご質問がありましたら、お気軽にお寄せください。
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また、契約書の作成・見直し、契約実務の整理、
セミナー・講座のご相談(オンライン可)にも対応しています。
上部の「問い合わせフォーム」よりご連絡ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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