契約書

契約書は誰が出すのが「マナー」なのか?

ビジネス法務コーディネーター®大森靖之です。
日頃は、ビジネス契約書専門(特にIT系に強い)の行政書士として、中小・ベンチャー企業様の成長発展のお手伝いをしております。

1.はじめに

「ビジネスにおいて契約書が重要なことは論を俟たない。 では、売主(お金を支払う側)、買主(お金を支払う側)どちらから契約書をだすのが『マナー』なの?」

というご質問をしばしばいただきます。
果たして「マナー」のようなものはあるのでしょうか。

2.契約自由の原則

結論を先に言ってしまえば、「マナー」はありません。
それは契約自由の原則という大原則があるためです。

したがって、上記のような質問をいただいた際には、

「立場やマナーを気にする必要はありませんよ」

とお答えすることが多いです。

【契約自由の原則】
私人の契約による法律関係については私人自らの自由な意思に任されるべきであって、国家は一般的にこれに干渉すべきではない、とする近代私法の原則。契約締結の自由、相手方選択の自由、契約内容の自由、方式の自由がその内容とされる。現在では、経済的に弱い立場にある者を保護するための労働契約、賃貸借契約、消費者契約などの内容に国家が介入し、あるいは公益事業において契約の締結を強制するなど、この自由を制限することが行われている

『法律用語辞典(第5版)』有斐閣

3.契約書は「先制攻撃」が圧倒的に有利!

契約書は先に出した方が超々圧倒的に有利です。
私は、中学高校時代とテニスをやっていたので、

「テニスはサーブをする側が主導権を握れるのと同じように、ビジネスにおいても契約書を先に出した方が商談の主導権を握れます」

こういう例え話で説明します。
あるいは、野球やサッカーなどでも先制点を入れた方が試合の主導権を握れますので、「先制攻撃」が有利ということは、ビジネスもスポーツも変わりありません。

ここからは、私自身のこれまでの経験則の話となってしまうのですが、ビジネスにおいて多くのケースでは、「原案通り」つまり、一番最初に出された内容のままで妥結され、契約書が取り交わされています。

数字で表せば、7~9割程度は「原案通り」なのではないでしょうか。そのくらい、契約の世界では「先制攻撃」が有利です。

「原案通り」といかないまでも、「原案(ドラフト、たたき台)」をベースに
契約交渉(商談)が進んでいくケースが大半ですから、契約書は相手から出される前に、自社側から積極的に出して行くことが、良い結果に繋がることが多いといえます。

そもそも「原案」というものは、作る側が自分に有利なように条件設定します。

先に「原案」を出されてしまった側の立場で言えば、自社側にとって不利な内容を五分五分の条件になるようにするが精一杯で、テニスで言うところの「リターンエース」は契約交渉においてはほとんどありません。

そのくらいビジネスにおいて、

「先に契約書を出す」という行為、ポジショニングは重いもの

なのです。

契約書というのは、お互いの利害関係が一致した妥協点が記載されたものという側面もありますので、受動的な態度で契約交渉に臨むことだけは避けるべきです。

4.さいごに

契約は相手あって成立するものですから、相手との関係性が重要です。言い換えれば、契約内容は相手との関係性から大きな影響を受けます。

取引開始に際して、
・相手の方が事業規模が大きい
・元請である相手から仕事をいただいている関係(下請取引)
といった、相手の方が力関係が上、相手が格上といったケースでは、自社側から契約書を出すのをためらうことがあるかもしれませんが、ぜひ積極的に「先制攻撃」を仕掛けていってください。

私自身、中小・ベンチャー企業様の法務関連のお手伝いをさせていただく中で、
「今回は相手から契約書が出てきたので、こちらでコストをかけてまで契約書を作る必要が無くなってラッキー」
といったお話を伺うことがあるのですが、ここまでお読みになった読者の皆さんであれば、
これがいかに危険なことがお分かりになるはずです。

相手主導で商談が進み理不尽で不利な条件を一方的に押しつけられてしまうことに繋がりかねません。

「土俵そのものとそこで適用されるルールを決めること」

この土俵作り、ルール作りこそが、収益性を高める(儲ける)ための肝の部分であることを、申し上げまして、筆を置きたいと思います。
(こちらにつきましては記事をあらためて詳しく解説させていただきます)

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

stand.fm(スタエフ)「契約書に強くなる!ラジオ」にて上記について音声解説をしております。
こちらにつきましてもぜひお聴きください!

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