ビジネス法務

【契約書のトリセツ】初めて外注するときに知っておきたい「契約書」の超基本

ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。

目次

本シリーズ「契約書のトリセツ」では、
契約書にまつわる基本的な知識や実務上の注意点を、
初心者の方にもやさしく、わかりやすく解説しています。
毎回ひとつのテーマを取り上げ、現場で役立つ視点をお届けします。


1. はじめに

「フリーランスの方や小さな制作会社に仕事をお願いしたいけれど…契約書って必要なんでしょうか?」
「スモールビジネスなのに、堅苦しくならないかな?」
「そもそも、契約書ってどうやって作ればいいの?」

実は、こうした不安を持つのはとても自然なことです。
でもだからこそ、これから外注を考えている起業家の皆さんに知っておいていただきたいのが、
「無形サービスにおいて、契約書は“商品そのもの”と言えるくらい大事な存在」だということです。


ある起業家の方から、こんなお話を聞きました。

「Web制作会社さんの提案がすごく魅力的だったので、契約書なしで発注してしまいました。
結果、納品されたものがぜんぜん違っていて…修正も有償対応とのことで、揉めてしまって。」

こうしたケース、決して珍しくありません。
具体的にはこんなトラブルに発展することが多いです。

  • 出来上がった成果物が、事前に聞いていた内容とまるで違う
  • 納期が大幅に遅れた
  • 修正依頼に対して、追加料金を請求された
  • 最悪、音信不通になって納品されなかった

契約書というのは、単なる形式的な書類ではありません。
お互いの“合意”を形にする、仕事の設計図のようなものです。

それを「契約書?とくに必要ないですよ」と言う業者には、
もしかするとこんな背景があるかもしれません。

  • 実績がないので、契約書を出すことに不安を感じている
  • 万が一納品できなかった場合に備えて、“逃げ道”を作りたい
  • 請けた内容に対する責任をぼかしておきたい

もちろん、全員がそうだとは限りません。
でも、相手が契約書の話に消極的な場合は、一歩引いて冷静に判断することをおすすめします。


Webサイト制作、ロゴデザイン、SNS運用など、形が残らないサービス(無形サービス)は特に要注意。

  • 「どこまでが作業範囲なのか」
  • 「何をもって“完成”とするのか」
  • 「修正は何回までOKか」
  • 「納品の形式は何か(PNG?PDF?Web公開?)」

こうしたことをあらかじめ契約書で取り決めておかないと、相手の仕事ぶりを評価する基準がなくなってしまいます。

つまり、無形のサービスでは、契約書が“商品そのもの”の役割を担っているとも言えるのです。
“モノ”としての完成品がない分、「仕事の中身」や「納品の状態」を可視化するには、契約書が欠かせません。


「でも、契約書って法律用語ばかりで難しそう…」
そんなふうに感じている方も多いと思います。大丈夫です。
最初は、簡単な書面と“仕様書”を組み合わせる形でも十分です。

✅ ステップ1:やってほしいことを明文化する(仕様書)

  • 例)ロゴ制作:3案提案、修正2回まで、納品はPNG+AIデータ
  • 納期、料金、支払いタイミング

✅ ステップ2:その内容を「契約書」として文書に残す

  • 1〜2ページ程度のシンプルなものでOK
  • 不安なときは、専門家に“チェック”だけお願いすることも検討

「小さい仕事だからこそ、言った・言わないが後を引く」
――これは、私が多くの事業者さんの相談を受けてきて感じた、リアルな現実です。


  • 「プレゼン内容と納品内容がぜんぜん違う」
  • 「納期が延びて広告スケジュールが狂った」
  • 「“これは範囲外”と言われ、追加請求された」
  • 「トラブル発生時に、言い逃れされて泣き寝入り」

こうしたリスクは、契約書があるかないかで大きく変わります。


ときどき、「契約書をお願いしたら、失礼になるのでは…?」と心配される起業家の方もいます。
でも、そんなことはありません。

むしろ、しっかりした事業者やフリーランスの方ほど、契約書を求められることに慣れていて、きちんと対応してくれます。

契約書は、信頼関係を壊すためのものではなく、
“安心して一緒に仕事をするためのツール”ともいえます。


特に起業直後は、「人とのつながり」や「スピード感」で進めたくなることもあります。
しかしながら、ビジネスとして長く続けるなら、「契約書を交わす」ことは避けて通れません。

特に、形のないサービスを依頼する場面では、契約書がそのまま“商品”の役割を果たします。
だからこそ、契約書があることは、あなたの仕事を守るだけでなく、プロとしての姿勢を伝えるチャンスにもなります。


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【執筆者】

ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
現場で実際に使える判断基準を前提に、契約実務を整理しています。


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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