ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
目次
- 1. 契約書が不利だと思ったら?相手に修正してもらう交渉のコツとマナー【2026年版】
- 2. 契約書の修正ってできるの?
- 3. 「対案を出してください」と言われたときの考え方
- 4. 交渉をあきらめる前に知ってほしいこと
- 5. 修正案はどうやって作ればいい?
- 6. 「差分」の表示(変更履歴)はマナーです
- 7. 契約交渉でよくあるパターンと対処法
- 8. 交渉を成功させる3つのコツ
- 9. 契約交渉は“営業活動の一部”という考え方
- 10. まとめ:いい契約が、いい仕事を生む
本シリーズ「契約書のトリセツ」では、
契約書にまつわる基本的な知識や実務上の注意点を、
初心者の方にもやさしく、わかりやすく解説しています。
毎回ひとつのテーマを取り上げ、現場で役立つ視点をお届けします。
1. 契約書が不利だと思ったら?相手に修正してもらう交渉のコツとマナー【2026年版】
仕事で契約書に目を通すとき、こんなことを思ったことはありませんか?
「この契約書、自分たちに不利じゃない?」
「こんな条件で引き受けて本当に大丈夫かな…」
特に、取引相手が大手企業だったり、業界の慣習が強かったりすると、「言いづらいな…」と思ってしまいがちです。
ですが、そのままサインしてしまって、後から大きなトラブルになった事例も少なくありません。
本記事では、「契約書の内容が不利かも…と思ったとき、どう交渉すればいいのか?」を、法律に詳しくない方でもわかるように丁寧に解説します。
2. 契約書の修正ってできるの?
「契約書の文言は変えてはいけない」と思っている方もいますが、これは誤解です。
契約書はあくまで両者の合意のもとに成立するもの。
つまり、「この条件はちょっと厳しいな」と感じたら、修正の相談をするのは当然の権利です。
実際、多くの企業では、契約書のやり取りの中で何度もドラフト(案)をやり取りし、微調整を重ねています。
3. 「対案を出してください」と言われたときの考え方
契約書の内容に疑問をもって先方に相談すると、こんなふうに返されることがあります。
「どこを、どう直したいのか理由を添えて教えてください」
これは決して冷たい態度ではなく、ビジネスの常識に沿った丁寧な対応です。
このときに、「えー、理由まで考えるのは面倒」と感じてしまい、あきらめるのはもったいない。
交渉を始める入り口に立ったと思って前向きに捉えましょう。
4. 交渉をあきらめる前に知ってほしいこと
「相手が大きな会社だから、こっちの要望なんて通らないよ…」と、最初からあきらめていませんか?
でも、実際のところは、
- 具体的に理由を添えて説明すれば、修正に応じてくれる
- そもそも契約書は交渉することを前提としている
というケースも多いのです。
価格交渉や納期調整と同じように、契約条件も「相談して調整するもの」と考えましょう。
5. 修正案はどうやって作ればいい?
ここで大切なのが、「対案」と「理由」をセットで伝えること。
【例】
✕「この条文は削除してください」
◎「この条文のままだと、万が一トラブルが起きたときに、こちらがすべて責任を負う形になります。リスクのバランスを取るために、双方責任としたいです。」
このように、なぜ変更が必要なのか、具体的な理由を伝えると交渉が通りやすくなります。
6. 「差分」の表示(変更履歴)はマナーです
修正した契約書を相手に渡すときは、変更した部分がどこなのか、すぐに分かるようにしておくことが大切です。
そのときに役立つのが、Microsoft Wordの「変更履歴」機能。
- 赤文字で変更点を表示 → レッドライン版(redline)
- すべて反映済みで読みやすい完成形 → クリーン版(clean)
この2つをセットで提出するのがビジネスマナー。
「親切だな」と思われるだけでなく、信頼感にもつながります。
7. 契約交渉でよくあるパターンと対処法
契約交渉では、次のようなやりとりがよくあります。
よくある条件
- 支払サイトが長すぎる(例:90日後)
- 一方的な損害賠償責任
- 業務範囲が曖昧
対処のコツ
- 業界平均や他社事例を根拠に出す
- 取引金額や期間のバランスを意識
- 「お互い様」のスタンスを忘れない
8. 交渉を成功させる3つのコツ
- 感情的にならない
→あくまで事実ベース・冷静に。 - 交渉材料を用意する
→業界慣習、過去事例、リスクの見積もりなど。 - 落としどころを探す
→すべて通すのではなく「譲れるところ/譲れないところ」を整理する。
9. 契約交渉は“営業活動の一部”という考え方
契約交渉は、ビジネスの「最後の詰め」ではなく、営業の一部です。
- 納期の調整
- 価格の交渉
- 契約条件の調整
これらはすべて「対話と合意」の積み重ね。
契約書もその延長線上にあると考えれば、「特別なもの」「怖いもの」ではなくなります。
10. まとめ:いい契約が、いい仕事を生む
契約書は、ただの書類ではありません。
**ビジネスの土台となる「約束の証」**です。
相手の言いなりになってしまって、後からトラブルになるよりも、
最初にきちんと話し合っておくことで、良い関係・良い仕事が生まれます。
- 内容に納得できないときは、理由を添えて変更を申し出る
- 変更履歴を使って、分かりやすく伝える
- 自分で難しいと感じたら、専門家に相談する
このような流れで進めていけば、きっと自信を持って契約交渉ができるようになります。

【執筆者】
ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
現場で実際に使える判断基準を前提に、契約実務を整理しています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。










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