ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
目次
- 1. 「契約書に強くなる!」というテーマについて
- 2. 「契約書に強い」とは、どういう状態か
- 3. 契約書が難しく感じられる本当の理由
- 4. 契約条件は「キャッシュフロー」に直結する
- 5. 「契約書に強くなる」ための近道はあるのか
- 6. このブログで伝えたいこと
1. 「契約書に強くなる!」というテーマについて
このブログのタイトルである
「契約書に強くなる!」
は、私が日々ご相談を受ける中で、
とても多くいただく次の言葉から生まれました。
「契約書に強くなるためのコツを教えてください」
では、
「契約書に強くなる」とは、
具体的にどういう状態を指すのでしょうか。
2. 「契約書に強い」とは、どういう状態か
私自身の20年以上におよぶ実務経験から言えば、
「契約書に強い」とは、
難解な法律用語を暗記している状態でも、
分厚い契約書を一瞬で読める状態でもありません。
むしろ、
- 契約書の素案を自分の立場から組み立てて考えられる
- 相手から提示された契約書を、感覚ではなく理由をもって解釈できる
- その内容が自社(自分)にとって有利か不利かを整理できる
- 必要に応じて、対案という形で条件を言語化できる
こうした状態こそが、
私の考える「契約書に強い」状態です。
その意味で、
契約書に強くなるとは、
契約書に書いてあることを、
自分でも納得しながら判断できるようになること
だと考えています。
3. 契約書が難しく感じられる本当の理由
契約書が難しいと感じられる最大の理由は、
条文そのものではなく、
「ポジションによって正解が変わる」点にあります。
たとえば、
物品の売買契約における「受入検査」という条項。
一見すると、
どの立場でも同じように読めそうですが、
実際には、
- 売主(お金をもらう側)
- 買主(お金を払う側)
このどちらに立つかで、
望ましい条件は真逆になります。
売主にとっては、
- 受入検査の期間を明確にしたい
- 一定期間内に異議がなければ、検査完了とみなして早く請求したい
というニーズがあります。
一方、買主にとっては、
- 検査のタイミングや基準はできるだけ柔軟にしたい
- 支払いの判断を急がされないようにしたい
というニーズが生まれます。
同じ「受入検査」という条文でも、
どちらの立場で契約書を見るかによって、
意味もリスクもまったく変わるのです。
【一般的な条文例】
第●条(受入検査)
買主は、売主が本件商品を納入する都度、受入検査を実施するものとする。
【売主(お金をもらう側)に有利な条文例】
第●条(受入検査)
1.買主は、売主が本件商品を納入する都度、受入検査を実施し、数量過不足または不合格品を発見したときは、5営業日以内に売主に通知するものとする。なお、当該期間内に買主から何らの通知がないときは、売主が納入した本件商品の受入検査は終了したものとみなす。
2.受入検査の対象、方法、合否の基準等検査に関する詳細事項は売主が定めるところによる。
【買主(お金を払う側)に有利な条文例】
買主は、売主が目的物を納入する都度、速やかに受入検査を実施し、数量過不足または不合格品を発見したときは、直ちに売主に通知するものとする。この場合、受入検査の対象、方法、合否の基準等検査に関する詳細事項は買主が定めるところによる。
4. 契約条件は「キャッシュフロー」に直結する
市販の契約書解説書では、こうした受入検査の条項が
簡単に流されていることも少なくありません。
しかし実務の現場では、
この条項ひとつで、
- 請求できるタイミング
- 入金の時期
- キャッシュフローの安定性
が大きく左右されます。
「ちゃんと仕事をしているのに、
なぜか手元にお金が残らない」
そんなケースの原因をたどっていくと、
契約条件の設計に行き着くことも多いのです。
契約書は、単なる法的リスク管理の書類ではなく、
事業の流れやお金の動きを形にする設計図
でもあります。
5. 「契約書に強くなる」ための近道はあるのか
では、
契約書に強くなるための近道はあるのでしょうか。
結論から言えば、
魔法のような近道はありません。
ただし、
意識して続けるべきことは、
とてもシンプルです。
- とにかく契約書に触れる機会を増やすこと
- 一つひとつの契約書を、立場を意識して読み込むこと
これを繰り返す中で、
契約書を
「レゴブロックの集合体」
のように捉えられるようになります。
条文や条件を
ひとつひとつの「ブロック」として頭の中に蓄積し、
必要な場面で組み替えられるようになる。
そうなれば、契約書は「怖いもの」ではなく、
考えるための材料に変わっていきます。
6. このブログで伝えたいこと
このブログでは、
契約書の雛形や条文例を並べることよりも、
- なぜその条文が必要なのか
- どんな前提で読めばいいのか
- 実務ではどう影響するのか
といった
「判断に至るまでの考え方」を
丁寧に言語化することを大切にしています。
契約書について、
自分でも納得して判断できるようになるための視点を、
ブログと音声配信を通じて発信している。
それが、
この「契約書に強くなる!」シリーズの根っこです。
私自身も、
まだまだ学びの途中にいる一人として、
これからも現場で考え、悩みながら、
発信を続けていきたいと思っています。

【音声解説】
本記事の内容は、
音声配信『契約書に強くなる!ラジオ』でも解説しています。
▽ 音声はこちら(stand.fm)
【執筆者】
ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
現場で実際に使える判断基準を前提に、契約実務を整理しています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。








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