※本記事は、実務でのご相談内容や取引環境の変化を踏まえ、
2025年12月31日に内容を見直し、加筆修正した【2026年版】です。
ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
目次
- 1.はじめに:「契約書の話を切り出すタイミング」が怖い理由
- 2.契約書も「段取りが9割」
- 3.実務のポイント|「段取り」とは何をすることか
- 4.お客様が本当に不安に思っていること
- 5.電子契約でも本質は変わらない【2026年版補足】
- 6.契約書は経営の一部分にすぎない
1.はじめに:「契約書の話を切り出すタイミング」が怖い理由
「契約書の重要性は分かっているが、
お客様にどのタイミングで契約書の話を切り出せばいいのか分からない」
このようなご相談をいただくことがあります。
背景を伺っていくと、
過去にお客様との商談が順調に進み、いざクロージングという段階で、
いきなり契約書の話を切り出したところ、相手に渋い顔をされた
――そんな苦い経験がトラウマになっているケースが少なくありません。
「話がまとまりかけたところで、空気を壊してしまった」
そんな感覚を一度でも味わうと、
契約書の話題を出すこと自体に、必要以上の緊張を感じてしまうものです。
2.契約書も「段取りが9割」
先に結論を整理しておくと、
契約書も他の仕事と同じで、「段取りが9割」です。
では、なぜお客様は「渋い顔」をしたのでしょうか。
理由はシンプルで、
契約書に対する心の準備ができていなかった
この一点に集約されると、私は考えています。
契約書には、当然ながら「お金の話」が書かれています。
そして、契約書に不慣れな方にとって、
- サインする
- ハンコを押す
という行為そのものが、相当な心理的ハードルになるのが普通です。
だからこそ、
日頃の商談の中でそのハードルを少しずつ下げ、
契約書に対する漠然とした不安を解消しておくことが重要になります。
3.実務のポイント|「段取り」とは何をすることか
ここでいう「段取り」とは、
難しい交渉テクニックのことではありません。
具体的には、次の2つを初回商談の段階から明示しておくことです。
① 料金表
② フローチャート(業務の流れ)
この2点をあらかじめ示しておくだけで、
お客様の不安は大きく減ります。
4.お客様が本当に不安に思っていること
お客様の立場で考えれば、不安の中心は常に「お金」です。
- 「いくらかかるのか」
- 「いつから発生するのか」
- 「いつまでに支払えばいいのか」
これらについて、
- 「いくら?」 → 料金表のとおり(明瞭会計)
- 「いつから?」 → 契約書締結日から
- 「いつまでに?」 → 納品後○日以内
といった形で、
料金表やフローチャートを使って可視化・言語化しておく。
これが、契約書に対する「心の準備」をしていただくための重要なプロセスです。
また、契約書には
「お金を支払う義務」だけでなく、
「相手にやってもらえること(権利)」も同時に書かれているという点も、
きちんと伝えておく必要があります。
事前に流れと条件を理解していただいていれば、
お客様自身も「契約書を取り交わすメリット」を感じやすくなります。
これが、
契約書にスムーズにサインしてもらう最大のコツです。
5.電子契約でも本質は変わらない【2026年版補足】
なお、近年は電子契約を導入される企業も増えています。
ただし、電子契約であっても事情は同じです。
クリック一つで締結できるからといって、
お客様の不安が自動的に解消されるわけではありません。
紙か電子かに関わらず、
- 事前に料金を明示すること
- 業務の流れを共有すること
- 契約内容について心の準備をしていただくこと
この積み重ねがあってこそ、
スムーズな契約締結につながります。
電子契約は「手段」であって、
不安を解消する「魔法」ではない、という点は押さえておきたいところです。
6.契約書は経営の一部分にすぎない
私自身、契約書に関わる仕事をして約20年
(企業法務部11年+行政書士9年)になりますが、
契約書はあくまで経営全体の中の一部分にすぎないと感じています。
契約書が真価を発揮するのは、
残念ながらトラブルが発生したときです。
だからこそ、
- トラブルを未然に防ぐ仕組み
- 転ばぬ先の杖として機能する仕組み
その中に、契約書をどう組み込むかという視点が重要になります。
営業・商談の一連の流れの中に、
自然な形で契約書を「プラグイン」していく。
当事務所が契約書作成をお手伝いする際には、
この発想を特に重視しています。

【音声解説】
本記事の内容は、
音声配信『契約書に強くなる!ラジオ』でも解説しています。
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【執筆者】
ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
現場で実際に使える判断基準を前提に、契約実務を整理しています。
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