「段取り9割」お客様の漠然とした契約書への不安を解消するには
ビジネス法務コーディネーター®大森靖之です。
日頃は、ビジネス契約書専門(特にIT系に強い)の行政書士として、中小・ベンチャー企業様の成長発展のお手伝いをしております。
1.はじめに
「契約書の重要性は分かるが、お客様にどのタイミングで契約書の話を切り出せばいいのか分からない」
といったご相談をいただくことがあります。
これは、(過去に)お客様との商談が上手く進み、いざクロージングの段階となったところで、(いきなり)契約書の話を切り出したところ、そのお客様に渋い顔をされてしまったという苦い経験が、トラウマになってしまっていることが多いような気がしています。
2.契約書も「段取りが9割」
あらゆる仕事において段取り重要ですが、これは契約書にも例外なく当てはまります。
上述のお客様がなぜ「苦い顔」をしたか。それは、
契約書に対する心の準備ができていなかった
に集約されるように思われます。
契約書は、当然ながら、お金の絡む話が書いてあるものです。とりわけ契約書に不慣れな方にとっては(不慣れな方が大部分と思われますが)、サインする(ハンコを押す)という行為自体、相当に心理的なハードルがあるのが通常です。
日頃の商談では、このハードルを下げ、契約書に対する漠然とした不安を解消し、契約書を取り交わすことのメリットを感じていただけるような意識的な取り組みが重要です。
具体的には、
①料金表
②フローチャート
を初回商談時にきちんと明示してお客様の不安を解消ことこそがここで言うところの「段取り」です。
3.お客様の不安とは?
お客様の立場からすれば一番不安なのは「お金」に関することです。
「いくら(かかるの)?」
「いつから(発生するの)?
「いつまでに(支払えばいいの)?」
これらについて、
「いくら(かかるの)?」 →料金表の通り(明瞭会計)
「いつから(発生するの)? →契約書締結日から
「いつまでに(支払えばいいの)?」 →納品後●日以内
と、上記①料金表や②フローチャートを使って、お客様に対して分かりやすい形で可視化・言語化して、お金に対する不安を解消するとともに、契約書に対する心の準備をしておいていただく。
一方では契約書にはお金を支払うこと(義務)だけでなく、相手にやってもらえること(権利)も同時書いてあるものです。
したがって、お客様に心の準備をしていただくプロセスを減れば、お客様にも契約書を取り交わすメリットを感じていただけることが通常です。
以上が契約書にスムーズにサインして貰う(ハンコを押してもらう)コツです。
4.契約書は経営の一部分に過ぎない!
私自身、契約書にかかわる仕事に関わって約20年(企業の法務部11年、行政書士9年)となりますが、契約書はあくまで書面でしかなく、経営全体の大きな枠組みで考えると、その一部分に過ぎないと感じることが多いです。
契約書が活躍するのは、残念なことではあるのですが、トラブル発生時。
そのトラブルに対する転ばぬ先の杖として、有効に機能させるための経営の仕組み作りの中で、契約書を捉えて考えていくことが重要と考えられます。
それを具体化させるための一例が、上述のような商談(営業)の一連の流れの中に、契約書をプラグインしていくという発想です。当方が中小・ベンチャー企業様の契約書作成のお手伝いをさせていただく場合には、この発想を重視しております。
5.音声解説はこちら
以上につきましては、音声配信アプリstand.fmの「契約書に強くなる!ラジオ」の方でもラジオ風に解説しております。無料でお聴きになれますので、お手すきでお聴きいただければ幸いです。
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