※本記事は、実務でのご相談や現場の変化を踏まえ、
2025年12月30日に内容を見直した【2026年版】です。
ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
目次
- 1.なぜ契約書は「読みにくい」と感じるのか?
- 2.契約書が読みづらい最大の原因は「曖昧さの排除」にある
- 3.契約書を「普通の日本語」で読もうとすると起きるズレ
- 4.契約書は「疑義が生じないようにするための文章」
- 5.曖昧な表現がトラブルを生む典型例
- 6.契約書が読みづらいのは「正確さ」を優先しているから
- 【ご参考】「甲」「乙」が苦手な方へ(即効性のある裏ワザ)
1.なぜ契約書は「読みにくい」と感じるのか?
- 契約書って、何が書いてあるのか分からない
- 最後まで読む気にならない
- 専門家じゃないと無理だと思っている
こう感じたことはありませんか?
実はこれ、読み手の理解力の問題ではありません。
契約書が読みづらく感じるのには、はっきりとした理由があります。
2.契約書が読みづらい最大の原因は「曖昧さの排除」にある
先に結論を言います。
契約書は、わざと読みづらく書かれている文章です。
それはなぜか。
契約書の目的が、一般的な文章とまったく違うからです。
3.契約書を「普通の日本語」で読もうとすると起きるズレ
契約書を読むとき、ついこんな感覚になりがちです。
- 日本語として不自然
- くどくて回りくどい
- もっとシンプルに書けるはず
でもこの感覚のまま読み進めると、
契約書の本質を取り違えることになります。
4.契約書は「疑義が生じないようにするための文章」
ここで一度、文章の役割を整理してみましょう。
- 小説:感情に訴え、物語で伝える文章
- 新聞:事実を正確に、多くの人に伝える文章
では、契約書は?
契約(法律上の定義)は、
法律上の効果を持つ約束
つまり契約書とは、
当事者間で解釈のズレが生じないようにするための文章
です。
私はよく、こう言い換えています。
「商談成立時のお互いの認識を、凍結保存する文章」
そのため、
「なんとなく伝わる表現」
「感覚的に理解できる言葉」
は、すべて排除されます。
5.曖昧な表現がトラブルを生む典型例
たとえば、契約書に次の一文があったとします。
甲は乙に対し、
「きれいな」本件商品を
「できるだけ早く」納入する。
一見、問題なさそうに見えます。
しかし――
- 「きれいな」とは、どの状態?
- 「できるだけ早く」とは、いつ?
ここが一切決まっていません。
結果、現場ではこうなります。
- 売主:「十分きれいだと思います」
- 買主:「それを“きれい”と言いますか?」
あるいは、
- 売主:「今月末で十分早いですよね」
- 買主:「いや、明日だと思っていました」
どちらも、契約書上は間違っていない。
だからこそ、トラブルになります。
6.契約書が読みづらいのは「正確さ」を優先しているから
契約書では、こう書き直します。
甲は乙に対し、
別紙仕様書に定める内容の本件商品を、
2025年4月30日までに納入する。
- 「きれい」は仕様書で定義
- 「早く」は日付で確定
たしかに、文章は少し硬くなります。
でもそれが、トラブルを防ぐ唯一の方法です。
契約書を読みこなすコツ
- 契約書は「取引を正確に言語化した設計図」だと理解する
- 文章と現実の取引を、1つずつ照らし合わせて読む
- 「だいたい合っている」は危険信号
急がば回れですが、これが一番の近道です。
【ご参考】「甲」「乙」が苦手な方へ(即効性のある裏ワザ)
契約書でよく出てくる「甲」「乙」。
これを、
- 甲 → 当社
- 乙 → お客様
などに一括置換してみてください。
驚くほど読みやすくなります。
WordやGoogleドキュメントの
「検索と置換」機能で一発です。

【音声解説】
本記事の内容は、
音声配信『契約書に強くなる!ラジオ』でも解説しています。
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【執筆者】
ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
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