ビジネス法務

【実務ノート】契約書は“会社まるごと”で動いている

ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。

目次


はじめに

契約書は、トラブルを避けるための「法律の紙」と思われがちです。

しかし実際には、
契約書=会社のビジネスモデルをそのまま文章に落とし込んだもの。

経営理念から営業、現場、請求、アフターサービスまで──
会社の“全部門が連動して動く仕組み”を前提にしないと、
契約書は正しく機能しません。

今回は、契約書を構成する12の要素を一つひとつ深掘りしながら、
「ビジネスの動線と噛み合う契約書」の作り方 を解説します。


1. 契約書は“会社の設計図”

契約書とは、
会社のビジネスモデルを“法的に通用する形”に言語化したもの。

だからこそ、
法務だけが正しければ良いのではなく、
営業、現場、調達、経理、アフターサービス…
会社の全体像を理解してはじめて「正しい契約書」になります。


2. 12の要素を深掘りすると見える「会社の動線」

契約書には以下の12要素が影響しています。

  1. 経営理念
  2. 営業戦略
  3. 商談
  4. クロージング
  5. 資材・原料調達/商品仕入
  6. 社内での実作業
  7. 納品
  8. 検収
  9. 請求
  10. アフターサービス
  11. 損害賠償
  12. 違約金

これらは バラバラの点ではなく“一本の線” です。

どれか一つでもズレると、契約書は機能不全を起こします。

たとえば営業が「月末納品で大丈夫です」と言っても、
調達の都合で原料が揃わなければ納品は不可能。
しかし契約書だけが「遅延=違約金」となっていれば、
現場も経営も大きな負担を抱えることになります。


3. 12の要素を個別に深掘りすると見える“契約書の本質”

① 経営理念

理念は「会社が何を大切にしているか」という大前提。
理念と矛盾する契約は、長期的に必ず破綻します。


② 営業戦略

営業が「何を売り」「どこを強みにするか」は
契約の仕様・納期・責任範囲に直結します。


③ 商談

商談で口頭同意した条件と契約書の記載がズレれば、
後で必ず揉めます。


④ クロージング

クロージングでの“期待値調整”が甘いと、
納品後トラブルの火種になります。


⑤ 資材・原料調達/商品仕入

調達リードタイムや価格変動は、
契約上の納期・価格調整条項に大きく影響します。


⑥ 社内での実作業

現場ができない・間に合わない内容を契約で約束すると、
トラブルの原因に。


⑦ 納品

データ納品か現物かで、
「引渡し完了」の定義が大きく変わります。


⑧ 検収

検収基準の曖昧さは、争いの典型。
「いつ検収が通るのか?」ここが肝。


⑨ 請求

請求タイミングはキャッシュフローに直結するため、
契約書で必ず明確に。


⑩ アフターサービス

無償・有償の境界を曖昧にすると、
現場が疲弊して赤字案件化します。


⑪ 損害賠償

責任上限(一次損害の範囲・金額)は、
経営に直結する重大テーマ。


⑫ 違約金

重すぎる違約金は、
高リスク案件・取引停止につながる可能性も。


4. 全体構造を踏まえて契約書に落とす

12要素は“並列の点”ではなく、
商談 → 仕様 → 納期 → 検収 → 請求
といった“流れの線”として契約書に落とし込む必要があります。

契約書とは、
会社の“流れの地図”を文章化する作業です。


5. よくある“ズレ”とトラブル事例

  • 営業の約束と現場の実力の不一致
  • 調達部の欠品リスクを無視した納期設定
  • 検収基準が曖昧で終わりの見えない評価
  • アフターサービスの無制限提供で赤字化
  • 損害賠償上限がなく経営リスクが増大

これらはすべて、
ビジネスの動線と契約書の“不整合” が原因です。


6.まとめ

契約書は、法務だけで作る「法律文書」ではありません。

経営理念からアフターサービスまで、会社まるごとで連動して動く“設計図” です。

契約書を正しく作るとは、会社全体の動線を理解し、
それを言語化して整えること。

12の要素を深掘りすることで、
「本当にビジネスで使える契約書」が見えてきます。

音声配信アプリ「stand.fm」にて、『契約書に強くなるラジオ』を配信中です。
本記事のテーマは、「誰かにシェアしたくなる法律知識」シリーズとして、音声でも公開しています。
▽音声をお聴きになるには、以下をクリックください(音声配信アプリstand.fmへ)。

このブログと音声配信「契約書に強くなる!ラジオ」では、
日々の仕事を支える“契約”という仕組みを通じて、
自分らしいビジネスを安心して育てていくための知恵と視点
をお届けしています。

契約は、トラブルから自分を守るためのものと思われがちですが、
実は、信頼関係を“形(カタチ)”にして、ビジネスを前に進めるための仕組みでもあります。
だからこそ――契約は、“ビジョンをカタチにするための言葉”でもあるのです。

足下を固めながら、一歩ずつ前へ進むために――
その道のりを、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

もし、「ここがちょっと気になる」「こんな時どうすれば?」
そんな小さな疑問がありましたら、ぜひお気軽にお寄せください。
このブログでも、できる限り取り上げていけたらと思います。

また、商工会議所や起業支援機関、専門学校などで
契約や法務リテラシーをテーマにしたセミナーや講座も承っております。
関心をお持ちの方は、上部の「お問い合わせ」からご連絡ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからも、共に学び、考えながら“契約に強くなる”時間を
ご一緒できれば嬉しいです。

【実務ノート】“教える”を仕事にするには前のページ

【実務ノート】経営理念を契約書に落とす技術次のページ

関連記事

  1. ラジオ

    「契約書に強くなる!ラジオ」2024年11月

    ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。ビジネス契約書専門の行…

  2. ラジオ

    「契約書に強くなる!ラジオ」2024年2月

    ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。ビジネス契約書専門の行…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


ご連絡先

行政書士大森法務事務所
home@omoripartners.com
048-814-1241
〒330-0062
埼玉県さいたま市浦和区仲町2-5-1-B1
▼契約書類作成
▼セミナー講師依頼
(契約書、ビジネス法務、コンプライアンス)
▼台本作成
(研修動画、ナレーション、ラジオ番組)

stand.fm『契約書に強くなる!ラジオ』【週2回(水・日)更新】
FM川口『ちょいワルMonday200』【毎月第2第4月曜日19:00~生放送】
2026年1月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
PAGE TOP