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【契約書のトリセツ】契約書は誰と結べばいい?「部長」「課長」との契約は大丈夫??営業現場で役立つ実践ガイド(2026年版)

ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。

目次


営業の現場では、日々さまざまなやり取りがあります。見積もりを出し、条件を調整し、合意に至ればいよいよ契約書を交わす流れになります。

でも、そのときふと疑問に思ったことはありませんか?

「この人、部長さんだけど、この人と契約を結んで本当に大丈夫なのかな?」

実はこの疑問、とても大切です。

なぜなら、契約というのは「会社対会社」の約束であって、「人と人」の約束ではないからです。
そして、「誰がその会社を代表して契約するのか」によって、契約の効力が大きく変わることがあるからです。

今回は、営業1年目の方でもスッと理解できるように、契約書の基本から「誰と契約を結ぶのが安全か?」という実務的な観点まで、丁寧に解説していきます。


✅ 契約は「人」ではなく「会社」と結ぶもの

そもそも契約とは、「お互いにこういう条件で取引しましょうね」という合意を、書面などで形にしたものです。
でも、法人同士の契約では、実際にハンコを押すのは“人”です。

たとえばこんな契約書の最後の部分:

株式会社〇〇〇〇
営業部 部長 山田 太郎 印

これを見たとき、

「会社と契約している」
それとも
「山田さん個人と契約している」?

…この違い、とても重要です。


営業の現場で一番安全なのは、「代表取締役」と契約を交わすことです。

なぜなら、「代表取締役」は法律上、会社を代表して契約する権限があると決められているからです。
法務局に登録(=登記)されているので、誰がその会社の代表なのかもすぐに調べられます。

✅ 例:登記されている代表者との契約

A社の代表取締役は「鈴木一郎さん」。
鈴木さんが署名(または記名)し、会社の実印を押せば、A社との契約は間違いなく有効。
※署名:自分の名前を「自筆で書く」こと
※記名:自分の名前を「印刷や代筆などで記載する」こと

つまり、「契約を結ぶ相手」としては最も確実でトラブルが起きにくいということです。


さて、ここからが本題です。

「営業部長」「購買課長」など、現場で交渉するのは多くの場合、こうした役職の方です。
でも、「肩書があれば契約できる」というわけではありません。

実は、契約できるかどうかは、会社の中でどう決まっているかによるのです。

✅ キーワードは「契約締結権限」

この言葉、少し難しく聞こえるかもしれませんが、要は

「この人が、会社を代表して契約していいよって、会社がOKしてるかどうか」

ということです。


たとえば、ある営業部長が契約書にハンコを押してきたとします。
あなたはこう思うかもしれません。

「部長だし、会社の角印も押されてるから大丈夫だろう」

…でも、それ、本当に大丈夫ですか?

実は、多くの会社の中には「職務権限規程」というルールが存在していて、
「この役職の人は、いくらまでの契約なら独断で結べる」といった基準が決められていることが多いのです。

でもこのルール、外部の人には見えません。

だからこそ、こちらが勝手に「大丈夫」と判断するのは危険なのです。


✅ ケース1:「部長が契約してくれたのに…」

中堅建設業者の営業担当・山本さんは、ある資材メーカーと大量購入の契約を進めていました。交渉を担当していたのは、資材メーカーの「調達部長」。

話もまとまり、契約書にサインと会社の角印をもらって無事締結!

…と思いきや、納品直前に「その契約は無効です」と言われてしまったのです。

理由は…

「部長にはそんな金額の契約を結ぶ権限がなかった」
「会社としては承認していない」

結果、再交渉を余儀なくされ、予定していたプロジェクトが大幅に遅延しました。


では、代表者以外と契約を結ぶとき、どうすればよいのでしょうか?

以下のポイントを押さえておくと、リスクを大幅に減らすことができます。

✅ 1. 契約前に「契約権限がありますか?」と確認する

たった一言の確認で、トラブルは防げます。

「この件、○○さんにご契約の権限はございますか?」
「念のため、御社内でご決裁済みでしょうか?」

聞きづらいかもしれませんが、ここをうやむやにすると後で自分が困ることになります。

✅ 2. 書面やメールで「記録を残す」

メールで確認したなら、そのまま保存しておきましょう。
できれば、契約書の本文にも以下のような一文を加えておくのがおすすめです(記載するのは難しいかもしれませんが…)。

※〇〇部長は当契約の締結について、〇〇株式会社における正当な権限を有することを相互確認のうえ、本契約を締結する。


「角印が押されてたから大丈夫と思ったのに…」という声もよく聞きます。

ここで知っておきたいのが、印鑑の違いです。

印鑑の種類役割注意点
実印法務局に登録されている会社の“本物”の印代表者が契約した証拠として強い効力
角印いわゆる“認印”
対外文書では主に見積書や請求書に使われる
効力がゼロとは言わないが、実印と比べれば格段に弱い

つまり、角印が押されていても、それだけで“正式な契約”とは限らないということ。

誰が押したのか、契約できる人だったのかが重要なんです。


シチュエーション①:先方が大手企業で、担当が部長クラス

大企業は社内決裁が厳しく、部長や課長でも勝手に契約できない場合がほとんどです。
いくら偉そうに見えても、「社内決裁は大丈夫か」の確認を忘れずに。

シチュエーション②:急ぎの案件で、今すぐ契約を結びたい

「今押してくれれば、すぐスタートできますよ!」
そんな場面でも焦らず、誰がハンコを押すかは必ず確認しましょう。

シチュエーション③:仲が良い担当者との口約束

つい安心してしまいがちですが、あとで「そんな話はしていない」と言われたら終わりです。
仲が良くても、ビジネスはビジネス。記録を残しましょう。


営業パーソンとしての実力は、「売る力」だけではありません。
本当に信頼される営業とは、「会社をリスクから守れる人」です。

そのために必要なのが、

  • 「この契約、大丈夫かな?」と疑問をもつこと
  • 「誰が契約するのが安全か?」を理解していること
  • 「確認と記録」を習慣にすること

こうした“契約の目利き力”を若いうちに身につけておけば、
今後の営業人生で何倍も信頼される存在になれるはずです。


11.まとめ

  • 契約書は、原則「代表取締役」と結ぶのが安全
  • 「部長」「課長」でも契約できることはあるが、会社の内部ルール次第
  • 外部からそのルールは見えないので、確認と記録が必須
  • ハンコがあっても、それだけで安心しない
  • トラブルを防ぐ営業力は、契約相手を見極める力!

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