ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)のほか、コミュニティFM局の構成作家兼パーソナリティとしての活動もさせていただいております。
はじめに:士業とラジオの意外な共通点
「ラジオに投稿していた経験が、士業や講師業に活きるって本当?」
たまに、そう聞かれることがあります。
書類と声。法律とトーク。一見無関係なものに見えるかもしれません。
でも、私は確信しています。
“伝える力”は、どんなジャンルの仕事にも共通して必要なものだと。
そして私にその力を教えてくれたのは──
中学生のころ、ひとりで書いた1枚のラジオ投稿ハガキでした。
「テレビがない部屋」から始まったラジオとの出会い
私がラジオを聴き始めたのは、「自分の部屋にテレビがなかったから」です。
当時、親にお年玉で買うからとテレビをねだったものの、にべもなくと却下されました。
代わりに部屋にあったのは、昔ながらのラジカセ。
「お年寄りが聴くもの」と最初は仕方なくつけたラジオでしたが、その先入観に反して聴いているうちにすっかりハマってしまいました。
「映像がない分、想像力が広がる」
「話し方ひとつで人を笑わせたり、泣かせたりできるんだ」
この体験が、今思えば「伝えることの面白さ」との最初の出会いでした。
憧れが生んだ第一通の投稿
ラジオを聴き続けていると、よくラジオネームを呼ばれるリスナーがいることに気づきます。
彼らは、ハガキ一枚で笑わせる“言葉の職人”でした。
「自分も、あんなふうに“言葉”で空気を変えたい」
そう思い、私は初めての投稿をしました。
そのハガキが番組で読まれたときの嬉しさは、今でも忘れられません。
それ以降、私は毎日のように投稿を書く“ハガキ職人”になっていきました。
読まれる投稿の裏にある「構成力」と「空気を読む力」
投稿を続ける中で、「読まれるハガキには一定のパターンがある」ことに気づきました。
- 番組のトーンに合っているか
- 読まれやすい長さ・テンポになっているか
- 共感か笑い、どちらかの要素があるか
- 他の投稿とのつながりが生まれる構成になっているか
これらを意識しながら書くことで、自然と相手に伝わる文章構成力が身につきました。
このスキルは、後に契約書やセミナーの原稿、そしてラジオ番組の台本を作るうえでも大いに役立っています。
ラジオ=“空間”を共有するメディアだと気づいた
投稿を重ねるうちに、ある大きな発見がありました。
ラジオは「一方通行」ではない。
リスナーとパーソナリティ、そしてリスナー同士が“空間”を共にしているメディアだ。
リスナーが投稿で参加し、それにパーソナリティが応じ、別のリスナーがそれに乗っかる。
この構造は、他のメディアにはないラジオ独自の魅力です。
つまり、投稿とは“空間づくり”に参加する行為。
それを日常的に繰り返していたことで、気がつけば場を読む力・場に加わる力が自然と鍛えられたのかもしれません。
SNS全盛の今でも、ラジオの「空間力」は健在
今ではSNSやYouTube、音声配信アプリでのライブ配信など、あらゆるメディアが“双方向”を謳っています。
しかし、私が育った時代にはそういったツールはありませんでした。
ほぼ唯一、参加型のメディアがラジオだったのです。
しかも、ラジオ(特に生放送)には独特の空気感がある。
トークの間、BGM、沈黙、そして声のトーン。
それらが一体となって“空間”を作り出しています。
そして、パーソナリティへ──届ける側の視点を得て
2020年6月、私はご縁があって、埼玉県川口市にあるコミュニティFM局「FM Kawaguchi」でパーソナリティを務めるようになりました。
初回の放送では、開始前は浮き足立っていたものの、時報とともにマイクのスイッチが入ると、不思議と緊張しませんでした。
なぜなら、これまで投稿を通じて“番組の内側”を何となく感覚的に知っていたからです。
話すテンポ・言い回し、BGMに乗るタイミング──
これらをリスナーとして何百回、何千回も聴いて体験してきたことを実際にできる喜びに満ちていました。
投稿に込められた「時間」と「思い」への敬意
今は「パーソナリティ」として番組を担当している私が、いちばん大事にしていること。
それは、投稿者の思いを受け止める姿勢です。
- 忙しい日々のなかで書いてくれたリスナーさん
- 番組の雰囲気を考えて言葉を選んだリスナーさん
- 他のリスナーさんとのつながりを意識してくれたリスナーさん
毎回スタジオに届くこうした投稿には、必ずそのリスナーさんなりの時間と思考が込められています。
だから私は、どんな投稿も一通ずつ、敬意をもって向き合うことを忘れないようにしています。
空間を整える力は、契約書や講演にも通じる
ラジオで学んだ「空間を読む・整える」というスキルは、実は私の本業にも活かされています。
たとえば、行政書士としてお客様と向き合うとき、単に専門用語を並べるだけでは伝わりませんし、何より「さすがプロ」と言われるような書類は作れません。
- 作成した書類を読む相手がどう感じるか
- どの言葉を使うと相手が反応するか、納得するか
- どのようなニュアンスにすれば正しく伝わるか
こういった“文書の空間”を整えることが、実務では極めて重要です。
また、商工会議所等でのセミナー講師として登壇する際も、単に専門知識を説明するのではなく、受講者との「空間づくり」=ファシリテーションが理解度、ひいてはアンケート結果を左右します。
おわりに:今もラジオ投稿を続ける理由
ラジオパーソナリティ(兼構成作家)として番組を制作する立場になった今でも、私はときどき、他の番組に「いちリスナー」として投稿をしています。
これは、単なる趣味や遊びではなく、原点を忘れないための習慣です。
投稿をすることで、あらためて
「自分の言葉がどう読まれるのか」
「どんな表現が伝わりやすいのか」
「読まれなかったときにどんな気持ちになるのか」
といった感覚を、実感として持ち続けることができるからです。
行政書士としてお客様と向き合うときも、セミナー講師として人前で話すときも、常に“相手目線”が必要になります。
そのためにも、自分が常に「受け手」の立場でどう感じるのかという、ある種の客観的な視点は重要です。
ラジオへの投稿は、私にとってその姿勢を確認し続けるための、ちょうど良いトレーニングでもあるのです。
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