ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
目次
- 0. 前回までの整理(第2回の振り返り)
- 1. 「正しいことを書いているのに読まれない」違和感
- 2. 原因は「説明が下手」ではない
- 3. 前回の復習:あえて“危ない状態”を作った理由
- 4. 「偉そう」に聞こえる正体は“ジャッジ感”
- 5. 読者は“説明”を求めていない
- 6. 欠けているのは「共感」という工程
- 7. 共感は“迎合”ではない
- 8. 共感を挟むと何が起きるか
- 9. 共感は結論を弱めない。むしろ強くする
- 10. だから第3回は「共感」が主役になる
- 11. 本日のアウトプット課題
- 12. 次回予告:いよいよ本質に入る
- 13. まとめ
0. 前回までの整理(第2回の振り返り)
このシリーズでは、
「ブログが続かない」「発信が仕事につながらない」と感じている
専門家・士業を中心に、
日々の仕事をどう言葉にしていくかをテーマに整理しています。
このシリーズでは、
ずっと同じことを言い続けています。
それは、
文章が下手だから伝わらないわけではない
知識が足りないから読まれないわけでもない
ということです。
前回(第2回)では、
「スタンス(意見表明)を明確にしないと、そもそも何も伝わらない」
という話をしました。
今回は、その続きです。
スタンスを明確にした。
ちゃんと「私はこう考える」と書いた。
……なのに、
- なんだか偉そうに見える
- 距離を感じる
- 反応が鈍くなる
なぜ、こんなことが起きるのか。
今日のテーマは、そこです。
1. 「正しいことを書いているのに読まれない」違和感
まず、はっきりさせておきます。
この問題は、
真面目に書いている人ほど直面します。
- 専門家として間違ったことは書きたくない
- 誤解を与えないよう、丁寧に説明したい
- 論理的に、筋道を立てて書いている
それなのに、
- 最後まで読まれない
- コメントも反応もない
- 「なんか近寄りがたい」と言われる
このズレ、身に覚えがあるのではないでしょうか?
(いかんせん、私自身がそうでした)
2. 原因は「説明が下手」ではない
多くの方々は、
ここでこう考えます。
「もっと分かりやすく書こう」
「言い回しを柔らかくしよう」
「表現を工夫しよう」
でも、違います。
問題は 表現 ではなく、順番 です。
3. 前回の復習:あえて“危ない状態”を作った理由
前回のアウトプット課題、覚えていますか?
- 最近感じた違和感を書く
- それを
「〜なのではないか?」
という一文の意見表明にする
理由も説明も求めませんでした。
その結果、多くの方がこう感じたはずです。
「これ、いきなり出したら偉そうじゃない?」
「ちょっと強すぎない?」
──その感覚、完全に正解です。
なぜなら、
意見表明(結論)は、単体で置くと必ず“強く”見える
からです。
4. 「偉そう」に聞こえる正体は“ジャッジ感”
ここで重要なのは、
偉そうに見える原因は「意見」ではない
という点です。
原因は、
意見表明 → いきなり説明
という直結構造。
「私はこう考える。なぜならば……」
この流れ、
ビジネスでは正解です。
でもブログでは、
読者の頭の中でこう変換されます。
- あ、評価された
- あ、判断された
- あ、この人はもう答えを持っている
この瞬間に、
文章は「他人の話」になります。
5. 読者は“説明”を求めていない
ブログを読みに来る方々は、
最初から説明を求めていません。
多くの場合、
- なんとなくモヤっとしている
- 言語化できていない違和感がある
- 自分だけなのか確かめたい
この状態です。
そこに、
「結論です。理由はこうです。」
と来ると、
一気に距離が生まれます。
6. 欠けているのは「共感」という工程
ここで、
6ステップ構成を思い出してください。
- 課題(問い)
- 意見表明(結論)
- 共感(あるある!わかります!!)
- 本質(構造・ルール)
- 適用
- 提案
読まれない文章は、
ほぼ例外なく 「3.共感」が抜けています。
私自身、
過去にアメブロから WordPress へ記事をリライトしてきた中で、
はっきり気づいたことがあります。
10年以上前に書いた記事を、今の時代に合わせて書き直していく中で、
よく読まれている記事には、ある共通点がありました。
それが、今回のステップで言う「3.共感」 です。
逆に言えば、
読まれない記事は、例外なく「偉そう」でした。
なぜそうなるのか。
多くの人は、
「意見表明をすること=上から目線になること」
だと思いがちですが、実は違います。
問題は、
意見表明のあと、
いきなり「説明(裏付け)」に入ってしまうことです。
「私はこう思う。なぜならば……」
この話し方自体は、
ビジネスコミュニケーションとしては正しい。
上司やお客さんに説明を求められた場面では、むしろ適切です。
しかし、ブログの読者は違います。
ブログを読んでいる時点では、
読者はまだ、その課題に対する理解が浅い状態です。
そこでいきなり「なぜならば」と理屈を並べられると、
読者は置いてけぼりになります。
そして、無意識のうちに
「ジャッジされた」「評価された」
と感じてしまう。
その瞬間に、
読者は離れていくのです。
だからこそ、
上から目線に見られないためには、
結論と説明の間に「共感・寄り添い」のブロックを挟むことが、
極めて重要になります。
一度、
相手の立場を引き受けてあげる。
たとえば、
- 「そのモヤモヤ、よくわかります」
- 「そう感じるのは自然なことですよね」
- 「実は私も、昔はそう思っていました(失敗しました)」
こうして一度相手に寄り添うことで、
読者は
「この人は、私の前提をわかってくれている」
と安心します。
そうすると、
その後の専門的な「本質論」も、
自分の話として落とし込んで読んでくれるようになります。
「共感」は、結論を弱めるためのものではありません。
結論を 「相手のもの」に変換するためのプロセスなのです。
7. 共感は“迎合”ではない
ここ、誤解されやすい。
共感というと、
- 主張を弱める
- 角を取る
- 言い切らない
と思われがちですが、違います。
共感とは、
「その課題や前提、分かってますよ」と示すこと
です。
- そう感じるのは自然
- その背景も想像できる
- 自分も通ってきた
これを一度挟む。
8. 共感を挟むと何が起きるか
共感を挟むと、読者の頭の中でスイッチが入ります。
「あ、この人は
私の立ち位置を分かってくれた上で書いてくれている」
その状態で初めて、
専門家の話が“聞ける状態” になります。
9. 共感は結論を弱めない。むしろ強くする
これは、
実感として何度も確認してきたことです。
共感を挟むと、
- 難しい話でも読まれる
- 法律や構造の話でも離脱しない
- 「ちゃんと考えてくれている」と感じてもらえる
結論は一切変えていません。
変えたのは、
順番だけ です。
10. だから第3回は「共感」が主役になる
この連載の流れで言うと、
- 第1回:ネタ・課題の見つけ方
- 第2回:スタンス(意見表明)
- 第3回:共感(あるある!わかります!!)
ここが抜けると、
第4回(本質)が生きません。
11. 本日のアウトプット課題
今回の課題は、前回よりも一段深いです。
前回書いた意見表明(結論)の直後に、
👉 共感を3つ、置いてみてください。
「共感」を考える上での問いはこの3つ。
- なぜ、そう感じる人が多いのか
- その違和感が生まれる背景は何か
- 自分自身も迷った経験はないか
まだ説明しない。
まだ正解も言わない。
「あるある!」「わかります!!」で止める。
12. 次回予告:いよいよ本質に入る
次回は、
この共感を“踏み台”にして、
なぜその問題が起きるのか
構造はどこにあるのか
を扱います。
ここからが、
専門家の出番です。
13. まとめ
専門家の話が偉そうに聞こえる理由は、
意見が強いからではありません。
問い→意見表明→共感という「前工程(仕込み)」
を飛ばしているからです。
順番を変えるだけで、伝わり方は劇的に変わります。
これはブログだけに限った話ではなく、
日々のお客様とのやり取りでも応用できる考え方でもあります。

【音声解説】
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【執筆者】
ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
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