ビジネス法務

【実務ノート】“教える”を仕事にするには

ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。

目次


はじめに

士業や専門家の方から、こうした質問をいただくことがあります。

「講師の仕事って、どうすれば頼まれるようになるんですか?」

実は、講義内容が良いことは“当然の前提”です。
その上で求められるのは、企画力・構成力・発信力・集客力など、
講義を“仕事として成立させるための実務スキル”。

さらにもう一つ大切なのが、

専門知識をあまさず細部まで伝えるのではなく、あえて絞って“わかりやすく伝える”こと。

受講者が「なるほど」と納得できる瞬間をつくることが、講師としての信頼を生む第一歩です。

本稿では、私が思うところの専門家が講師として活動するために必要な「7つの力」をご紹介します。


1.企画力 ― テーマを形にする力

講師は「呼ばれる人」ではなく、“企画を提案できる人”へ。

・どんなテーマを
・誰に向けて
・どんな成果を提供するか

これを自ら設計できる講師は、主催者から非常に信頼されます。


2.構成力 ― 聞き手の理解の流れをつくる力

講義は 順番のデザイン がすべてです。

導入 → 本質 → 実例 → まとめ → 行動の一歩

この流れを意識するだけで、
参加者の理解度が劇的に変わります。


3.表現力 ― 難しいことを「絞って伝える」力

専門家の落とし穴は「全部伝えようとすること」。

しかし講師の役割は、
“何を削るか”を判断することでもある。

「10伝えて1残る」より
「3を伝えて3残す」講義が良い講義。

専門知識をあえて絞り、
“わかりやすく翻訳する力” が講師としての力量であると考えます。


4.発信力 ― 講義前から信頼を積み上げる力

講師は、登壇する前から選ばれています。

  • SNS
  • ブログ
  • note
  • 実績紹介

こうした日々の発信が「この人に頼もう」という判断基準になります。


5.オンライン対応力 ― 画面越しでも「場をつくる」力

オンライン研修では、講師の力量がより明確に出ます。

  • 声のトーン
  • 話すテンポ
  • 表情・間の使い方
  • チャットとのやり取り

オンラインは“空気が読みにくい”。
だからこそ、講師は“空気をつくる”側になります。


6.集客・広報力 ― 主催者と一緒に「人を集める力」

今の時代、講師にも集客力が求められています。

  • SNSでの告知
  • 世界観の統一
  • 事前案内の工夫
  • リマインド投稿

自分で集客できる講師は、それだけで重宝される。


7.アフターフォロー力 ― 講義を“次につなげる”力

むしろ大事なのは「講義後」。

  • アンケート対応
  • 質問への返信
  • フォロー資料の送付
  • 次回テーマの提案

講義は「終わった瞬間」から次が始まります。


8.講師としての歩み

― この3年間で担当してきたセミナー・研修の記録 ―

“現場で使える法律”を届けるために

ここ3年間で担当してきた講義を振り返ると、
「企業の現場で実際に使う法律」を翻訳して伝える講義
を中心に取り組んできました。

以下、代表的なテーマです。


契約・取引実務

現場が求める「契約書を読む力」を養うテーマ。

  • 契約書のポイント研修(基礎編/応用編)
  • 契約解除・仕様変更・キャンセル対応
  • 業務委託契約とフリーランス法対応
  • 下請法と優越的地位の濫用(2026年改正対応)

契約書=ビジネスを前に進めるためのツール という視点を重視。


情報管理・リスク対策

企業の信用に直結するテーマが増加。

  • 秘密保持契約(NDA)の実務
  • 経済安全保障と情報管理体制
  • フリー素材・著作権リスク
  • 情報漏洩リスクと企業責任

「中小企業でも今日からできる情報管理」 を軸に解説。


コンプライアンス・組織づくり

組織文化に関わるテーマも多数。

  • コンプライアンス研修(役員/管理職/一般社員)
  • ハラスメント防止と規程整備
  • 内部通報制度(公益通報者保護法対応)

“守るルール”から“活かすルール”へ。


法改正キャッチアップ

条文解説ではなく「実務課題」として伝えるスタイル。

  • 改正民法(契約・代理・消滅時効)
  • 改正景品表示法・特商法
  • フリーランス保護法
  • 下請法改正(2026年施行予定)

→ 改正内容を「自社の実務にどう落とし込むか」の視点で整理。


まとめ

“教える”を仕事にするとは、
知識を伝えるだけではなく、現場を動かすこと

専門家は、法律を「現実に落とし込む翻訳者」であり、
企業の未来とリスクを守る“伴走者”。

これからも、契約・法改正・コンプライアンスの現場で
「理解が行動に変わる講義」を届けていきます。

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契約は、トラブルから自分を守るためのものと思われがちですが、
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