ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
目次
- 1. はじめに
- 2. フリー素材=“誰でも自由に使えるもの”?
- 3. 法律上の考え方~そもそも「権利」とは?
- 4. 著作権侵害は“無断入居”と同じ?
- 5. 実務上の注意点~フリー素材=フリーレント物件?
- 5.トラブルを防ぐコツ~利用規約の「4つのチェックポイント」
- 6. まとめ
本シリーズ「契約書のトリセツ」では、
契約書にまつわる基本的な知識や実務上の注意点を、
初心者の方にもやさしく、わかりやすく解説しています。
毎回ひとつのテーマを取り上げ、現場で役立つ視点をお届けします。
1. はじめに
「この画像、ネットにあったから使ってもいいですよね?」
そんな感覚で“フリー素材”を使った結果、
後から削除要請や損害賠償の通知が届いてしまう――
そんなトラブルが、実は少なくありません。
本記事では、フリー素材に潜む「契約リスク」や「著作権侵害の構造」をわかりやすく解説します。
2. フリー素材=“誰でも自由に使えるもの”?
近年、Web制作や広告、社内資料などでフリー素材(無料素材)が多く使われるようになりました。
「商用利用OK」「会員登録不要」「クレジット不要」といった文言が並ぶと、つい油断してしまいます。
しかし実際には、
- 利用条件を満たしていなかった
- 出典リンクを貼っていなかった
- 加工してはいけない素材を編集してしまった
…など、利用規約の違反によって損害賠償を請求されるケースも。
こうしたトラブルは、実は「契約」に関する感覚のズレから起きているのです。
3. 法律上の考え方~そもそも「権利」とは?
法律における「権利」とは、
他人に対して「こうしてほしい」と主張できる法的な力のこと。
たとえば──
- 他人が自宅に勝手に入ってきたら、「出ていけ」と言える(所有権)
- 自分が作ったイラストを無断で使われたら、「使うな」と言える(著作権)
このように、権利者には他人の使用を止めたり、使用料を請求したりする力があります。
そして、**この正当な力を無視して行動することが「権利侵害」**です。
4. 著作権侵害は“無断入居”と同じ?
よく、「不動産を無断で使う人はいないけど、著作物は無断で使われがち」と言われます。
これはなぜか?
- 不動産は物理的に“目に見える”
- 著作物はデジタルで簡単にコピーできてしまう
- 「フリー素材」という言葉が「自由」を連想させやすい
こうした要因から、著作物の“所有者がいる”という意識が薄れがちです。
しかし著作権も、「勝手に使わせない」排他性を持つ権利です。
しかも、創作した瞬間に自動的に発生するという特徴があります(著作権法17条、18条など)。
5. 実務上の注意点~フリー素材=フリーレント物件?
契約の構造として、フリー素材を「フリーレントの不動産」にたとえるとわかりやすくなります。
| 比較項目 | フリー素材 | フリーレント物件 |
|---|---|---|
| 所有者がいるか | いる(著作権者) | いる(オーナー) |
| 無償利用の条件 | 利用規約に明記 | 契約書に記載 |
| 使っていい範囲 | 商用/非商用、改変可否など | 用途・入居期間など |
| 契約違反のリスク | 削除要請・損害賠償 | 契約解除・退去要請・損害賠償 |
つまり、フリー素材も“貸してもらっているだけ”なのです。
借りるならルールを守る。
これが法律上の基本です。
5.トラブルを防ぐコツ~利用規約の「4つのチェックポイント」
素材を使う前に、次の4つは最低限チェックしましょう:
- 商用利用がOKか?
→ 会社HP・広告・販促資料で使う場合は要確認! - 改変(加工)がOKか?
→ 画像のトリミング・色調補正・文字入れなど - クレジット表記が必要か?
→ 表記が義務づけられている場合、忘れるとNG - 出典リンクの指定があるか?
→ サイトへのリンクが必須のケースもあります
✅ おすすめ:利用規約のスクリーンショットを保存しておく
あとで「規約が変わった」と言われても、自分の利用時点での証拠があれば安心です。
6. まとめ
「フリー素材」とは、誰でも勝手に使ってよいものではありません。
あくまで「条件つきでの使用を許可された著作物」です。
そしてその条件は、著作権者が設定した「契約(利用規約)」によって定められています。
📌「無料=自由」ではない。
📌「使わせてもらっている」という意識が大切。
📌 契約の基本は「ルールを守って借りる」こと。

【音声解説】
本記事の内容は、
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【執筆者】
ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
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