ビジネス法務

【契約書のトリセツ】条文が書けないときは「英文法5文型」で考えてみる

ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。

目次

本シリーズ「契約書のトリセツ」では、
契約書にまつわる基本的な知識や実務上の注意点を、
初心者の方にもやさしく、わかりやすく解説しています。
毎回ひとつのテーマを取り上げ、現場で役立つ視点をお届けします。


1. 条文は「どうやって一から作るのか?」

契約書の条文は、
どうやって一から作ればいいのでしょうか。

契約文例集を見れば、それらしい条文はいくらでも見つかります。
しかし、

  • ビジネススキームが少し特殊なとき
  • 文例集にぴったり合う条文が見つからないとき

「では、この条文はどう書けばいいのか?」
と手が止まることは、決して珍しくありません。


2. 英文法の「基本5文型」を意識する

結論から言えば、
英文法の「基本5文型」の考え方を意識すると、条文は組み立てやすくなります。
(私自身、英語が得意なわけではないので、間違っていたらご指摘ください!!)

契約書の条文も突き詰めれば、

  • 誰が(S)
  • 誰に(O)
  • 何をするのか(V)

を、簡潔かつ明瞭に表現する文章だからです。


3. 文例集では対応できない場面

契約書ドラフティングの現場では、通常、

  • 依頼者の話をよく聞き
  • ビジネススキームを理解し
  • 要件を整理したうえで
  • 既存の契約文例をベースにドラフティングする

という流れを取ります。

世の中には、優れた契約文例集がたくさんありますし、
(言葉は少々悪いですが)
「良いものを参考にする(パクる)」 という姿勢自体は、
決して間違いではありません。

ただし問題は、
文例集に載っていないケースです。

ビジネススキームを正確に契約書へ落とし込もうとすると、
どうしても「自分で条文を考えなければならない場面」が出てきます。


4. 条文の「作り方」を教えてくれる本は意外と少ない

思うに、契約文例集の「良書」は多く存在する一方で、
「条文をどう組み立てるか」そのものを体系的に説明した本は、意外と少ないと感じています
(私が見つけられていないだけかもしれませんが)。

そんな中、TOEIC対策として英文法の参考書を読んでいた際、
ふと、こんなことを思いました。

「英文法の基本5文型を意識すれば、
条文はもっとシンプルに作れるのではないか」


5. 英文法の基本5文型とは何か

英文法の基本5文型とは、

  • S:主語
  • V:動詞
  • O:目的語
  • C:補語

を用いた、次の5つの型です。

  • 【第1文型】S+V
  • 【第2文型】S+V+C
  • 【第3文型】S+V+O
  • 【第4文型】S+V+O+O
  • 【第5文型】S+V+O+C

日本語と英語では構造が異なるため、
これを厳密に当てはめることはできません。

しかし、
「文章の幹を先に押さえる」という考え方は、
契約書ドラフティングにも十分応用できます。


第1文型的に考える条文(S+V)

桃太郎およびイヌは(S)、
誠意をもって本件取引を(M)、
行わなければならない(V)。


第4文型的に考える条文(S+V+O+O)

桃太郎およびイヌは(S)、
相手方の秘密情報を(O1)、
相手方の書面による事前承諾を得なければ(M)、
第三者に(O2)、
開示または漏洩してはならない(V)。


第5文型的に考える条文(S+V+O+C)

桃太郎は(S)、
イヌに対し(M)、
自己の業務委託先であるサル商事が(O)、
法人格を有することを(C)、
保証する(V)。


6. まず「文章の幹」を作り、修飾語は後から足す

まず「誰が・何を・どうするのか」という
文章の幹を組み立て、
その後で修飾語を足していく。

この順序を守るだけでも、
意味不明な条文になるリスクは大きく下がると思われます。


7. 契約書ドラフティングは「構造理解」がすべて

契約書の条文づくりで重要なのは、
最初から完璧な表現を目指すことではありません。

  • 文章の幹(S・V・O)を押さえる
  • 修飾語は後から整える

この順番を意識することで、
条文は格段に書きやすくなります。

条文の作り方や推敲の考え方については、
今後も折に触れて、
少しずつお伝えしていきたいと思います。


【執筆者】

ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
現場で実際に使える判断基準を前提に、契約実務を整理しています。


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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