ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
はじめに
行政書士試験に合格して、「さあ、これからだ」と意気込んで開業準備を始めたものの、実際に開業してみると「こんなはずじゃなかった」「どうすればいいか分からない」と感じる場面も少なくありません。私自身、今でも模索の日々です。
それでも、少しずつ積み上げてきたことで見えてきたもの、実感していることがいくつかあります。本記事では、“等身大の行政書士”として歩んできた実務のリアルを、お届けします。
ヒアリング力は「資格」以上に武器になる
行政書士の仕事=書類作成というイメージが強いですが、実際には、
- お客様(依頼者)
- 行政(役所)
- 自分(専門家としての腹落ち)
この三者の意図をすり合わせる“調整役”としての役割が非常に重要です。
たとえば、建設業の許可申請ひとつ取っても、
- お客様が考えていることと実際の要件がズレていたり
- 役所の運用が地域によって違っていたり
といったことは日常茶飯事です。
スキルや知識の前に「聴く姿勢」
「行政書士は法律の専門家だから、知識で勝負!」と思いがちですが、最初のうちは分からないことだらけで当然です。
それよりもまず大事なのは、「人の話をよく聴く」こと。
- 何を望んでいるのか?
- なぜそれをやろうとしているのか?
- 本当に必要な申請なのか?
こういったことを丁寧にヒアリングできるかどうかで、業務の質が変わりますし、信頼関係の構築にもつながります。
勉強のベクトルが変わる瞬間~「合格のため」から「誰かのため」へ~
行政書士試験の勉強は、合格を目指す自分自身のためのものでした。
ところが、開業してからの勉強は、
- 目の前のお客様の課題を解決するため
- 実務をスムーズに進めるため
- 自分に相談してくれた方に答えるため
と、明らかに「他人のため」へと向かうようになります。
地味な積み重ねが、確実に効いてくる
実務に入ると、華やかな知識よりも地味な積み重ねがものを言います。
- 法令を読み解く力
- 電話での役所対応のコツ
- WordやPDFを使った資料整理術
こういった“小さな実務スキル”の積み重ねが、結果的に大きな差になっていくことを日々感じています。
士業資格は役所の窓口へのアクセス権
士業の資格は、ある意味「行政の窓口へのアクセス権(通行証)」だと感じています。
行政書士の通行証を使ってアクセスできる窓口は非常に多岐に渡ります。
- 建設業・産廃・風俗営業等の許認可
- 農地転用や開発許可など土地関連
- 在留資格や国際結婚などの外国人手続き
- 遺言・相続(戸籍)
つまり、自分次第で“行けるフィールド”が変わってくるということです。
名刺配りでは仕事は来ない
開業してすぐ、名刺を配り歩いたり、ホームページを開設したりしても、仕事が舞い込むわけではありませんでした。
「営業=お願いすること」というイメージもありましたが、今ではそれが違うと気づいています。
営業とは、
- 自分が役立てる場面を見つけること
- その人の課題を聴くこと
- 解決策を提案すること
つまり、「価値提供の場」を探す行為なんだと思うようになりました。
それに気づいてからは、営業が少しラクになりましたし、「自分には何ができるか」という目線で人と話せるようになりました。
「ありがとう」と言ってもらえる仕事~報酬以上のやりがい~
行政書士の仕事は、資格を取ったからといってすぐに儲かるようなものではありません。
でも、手続きを無事に終えたときにお客様から
- 「本当に助かりました」
- 「これで前に進めます」
と感謝の言葉をいただけると、 「ああ、この仕事をやっていてよかったな」と感じることができます。
これは、士業としての報酬を超えた“実感”であり、モチベーションにもなります。
私もまだまだ道の途中です
私自身も、まだ「うまくいっている」とは言えません。むしろ、今も日々悩みながら、少しずつ積み重ねている最中です。
それでも、「ヒアリングを大事にする」「お客様に寄り添う」「地道に学び続ける」ことを忘れずにいれば、少しずつ道は拓けると思っています。
行政書士という仕事は、派手さはありませんが、社会と人の間を結ぶ役割を持っています。
あなたの今日の積み重ねが、きっと明日の誰かの力になります。
おわりに
この記事では、私が開業してから経験してきたことをもとに、「地に足のついた行政書士の実務」についてお伝えしました。
どんなに小さな一歩でも、続けていくことでしか見えない景色があります。
もし、今この仕事に不安を感じている方がいれば、私のこの等身大の経験が、少しでもお役に立てれば幸いです。
ご質問受付中!
足下を固め、自分自身を守り、そして、「成し遂げたいこと」や「夢」の実現に近づけるための契約知識について、このブログや、音声配信「契約書に強くなる!ラジオ」でお伝えしていきますので、今後ともご期待、ご支援いただければ幸いです。
「こんなことに困っている!」など、契約書に関するご質問がありましたら、ブログ等で可能な限りお応えしますので、上記「お問い合わせ」より、お気軽にお寄せください。
また、商工会議所などの公的機関や、起業支援機関(あるいは各種専門学校)のご担当者で、
「契約知識」に関するセミナー等の開催をご検討されている方
講師やセミナー企画等の対応も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
最後まで、お読みくださりありがとうございました。
この記事へのコメントはありません。