ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
はじめに
「行政書士として独立したけれど、この先やっていけるだろうか…」
「今の方向で本当に合っているのか、不安になることがある…」
そんな声を耳にすることが、私自身も少なくありません。
私は、ありがたいことに行政書士として13年目を迎えることができました。ただ、開業当初から順調だったわけではありません。最初の数年は手探りの連続で、うまくいかないこともたくさんありました。
この記事では、これまでの経験や、周囲の同業者の様子から感じたことをもとに、「残っていく人」と「離れていく人」の違いについて、あくまで一つの視点としてご紹介したいと思います。
これから開業する方、開業3年以内で模索中の方に、何か一つでもヒントになれば幸いです。
長く続けらている行政書士に共通する“姿勢”
開業から年数が経っている先生方を見ていて、いくつか共通していると感じることがあります。それは、特別な資格やノウハウではなく、むしろ「日頃の振る舞いや人との向き合い方」に関することばかりです。
1.明るく、笑顔で接する
相談に来るお客様は、どこか不安や緊張を抱えていることが多いです。そんなとき、明るい笑顔と気さくな一言が、その不安をふっと和らげてくれます。
2.お金の扱いに誠実である
報酬の話や立替金・経費精算など、避けては通れないお金のやりとり。ここで不信感を持たれてしまうと、関係が一気に冷え込んでしまいます。見積書、請求書、領収書——丁寧に整えるだけで印象はずいぶん変わります。
3.こまめな報連相を大切にしている
お客様にとっては、「今どうなっているのか」が一番気になるポイント。進捗が少しでもあれば、その都度知らせてあげることで、安心感につながります。そんなの当たり前でしょ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、意外とできていない人が多いのです。
4.難しい話をしすぎない
私自身、開業当初は「ちゃんと説明しなければ」と思ってつい法律用語を並べてしまっていました。でも、伝わらなければ意味がありません。お客様が理解できる言葉で話すことが、専門家としての力量だと感じています。
5.人の話を最後まできちんと聴く
「この人、ちゃんと話を聴いてくれるな」と思っていただけるだけで、信頼関係は大きく進みます。話の途中で遮らない、結論を急がないことは、自分にもいつも言い聞かせていることです。
6.生真面目すぎず、でも誠実
ルールは守る。でも、柔軟な対応もできる。そんな“ちょうどいい真面目さ”が求められていると感じます。状況に応じて、臨機応変に動けることも大事なスキルの一つです。
7.仕事に誇りを持っている
「この手続、私が最後まで責任を持って仕上げます」と言い切れる自信と誇り。それがあると、お客様も自然と頼ってくださるようになります。
8.若い人からも学ぼうとする姿勢
私は年齢的には“若手”とは言えないかもしれません(笑)、新しい技術や考え方を持つ若い同業者の意見には、なるべく耳を傾けるようにしています。世代に関係なく、学びはたくさんあります。
反対に、開業初期で離れていく方に見られがちな傾向
これも一概には言えませんが、私自身がこれまでに見聞きしてきた中で、比較的早くこの仕事を離れていった方には、以下のような傾向がありました。
1.表情が暗い、覇気がない
やはり「人と接する仕事」である以上、表情や声のトーンは重要です。自信がないときこそ、少しだけ背筋を伸ばして、元気に振る舞ってみるのもひとつの方法かもしれません。
2.お金の扱いが雑
報酬の計算がいい加減だったり、請求が遅れたりすると、自分の首を絞めてしまいます。金銭感覚をきちんと持つことも、経営者としての大切な力です。
3.連絡が遅い・返さない
これは本当によくある失敗です。どんなに忙しくても、ひとこと「今、立て込んでいまして…」と返すだけで印象がまったく変わります。
4.納期を守らない
「書類はできているんですが…」という言い訳は、お客様には通用しません。期日までに仕上げる、申請する、という当たり前のことを積み重ねるしかありません。
5.法律論が先行しすぎる
「○○法では…」と語り始めると、かえってお客様が引いてしまうこともあります。法律は背景に置きつつも、「その方にとって必要なこと」をシンプルに伝える工夫が必要です。
6.自慢やマウンティングが多い
特にSNSでは、ついつい「こんな案件やってます」と発信したくなることもあります。でも、それが他人目線で自慢と捉えられてしまうと、逆効果です。
7.情報を無料でもらうのが当たり前
同業者同士の情報交換は大事ですが、「タダで教えてもらって当然」といった態度は、周囲の信頼を失いかねません。情報も人の努力の賜物であることを、常に忘れずにいたいものです。
営業が苦手な方へ──“実績”を活かすという考え方
「営業は苦手」「SNSもあまり得意じゃない」という方も多いと思います。実は、私もその一人です。
ただし、“実績”を言葉にすることができれば、無理に営業しなくても信頼は広がっていきます。
たとえば、
- 「〇〇の許可を取得しました」
- 「△△の書類、無事に通りました」
- 「依頼者の方から感謝の言葉をいただきました」
こうした経験を、ブログやSNS、名刺裏の事例紹介など、守秘義務に抵触しない範囲で発信してみる。
これが“あなたにしかない営業ツール”になります。
最後に:やっぱり「人にやさしい人」が残っていく
私のまわりを見ても、長く活躍されている先生に共通しているのは、「人にやさしい」ことです。
- 自分のことばかりではなく、相手の立場に立って考える
- ちょっとした気配りを大切にする
- 感謝の気持ちを忘れない
派手さはなくても、こうした日々の積み重ねが、信頼を生み、次のご依頼へとつながっていきます。
行政書士は「ひとりで始める」仕事ですが、決して「ひとりで完結する」仕事ではありません。
たくさんの人とのつながりの中で、自分らしい形を築いていくものだと私は思っています。
これから行政書士として歩み出すあなたの道が、少しでも明るいものになりますように。
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