ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
はじめに:断られても“終わり”じゃない
行政書士として独立開業すると、避けて通れないのが「営業活動」です。
開業当初、名刺を持って経営者の集まる会合に参加したり、知人の紹介で企業を訪問したりして、「はじめまして、行政書士の〇〇です」と名乗る機会が何度もありました。
ところが、多くの場合、返ってくるのはこんな言葉でした。
「うちはもうお願いしている行政書士がいるから、ごめんね」
「うちには行政書士に頼む仕事はないや、ごめんね」
そのたびに、肩を落としたものです。
「やっぱり遅かったか」「競合ばかりの世界なのか」と、自信をなくしそうになることもありました。でも、そこから少し時間が経った頃、意外な展開が起こります。
「そういえば行政書士だったよね?急ぎでお願いしたいことがあって…」
何度も、こんなふうに“あの時断られたはずの方”からご依頼をいただくケースがあったのです。
この経験は、私にとってとても大きな気づきでした。そして、これから開業される方にもぜひ知っておいてほしい「営業の裏側」でもあります。
「すでにお願いしている行政書士がいる」と言われた時の本音とは?
企業の経営者が「もう頼んでる人がいるから」と言う背景には、以下のような事情が潜んでいるケースがよくあります。
① 実は急ぎすぎて“いつもの先生”に断られた
たとえば「明日までに書類が必要なんだけど、どうしても時間が取れない」といった突発的なケースでは、普段から付き合いのある行政書士でも「今回は無理」となることがあります。
そんな時にふと思い出されるのが、数週間前に名刺交換した「新人の行政書士さん」です。
✅「時間がありそうだし、引き受けてくれるかも」
という発想になるのは、ごく自然な流れです。
② 実は既存の行政書士に少し不満がある
・連絡してもレスポンスが遅い
・説明が難しくて理解しにくい
・毎回対応者が違って話が通じない
…など、見えない“くすぶり”がある場合、「新しい人に試してみようかな」という心理が働くのもよくあること。
最初は社交辞令的に「もう頼んでいる」と言っただけで、実は真剣に他の選択肢を探していたケースも少なくありません。
新人行政書士にこそある「最大の武器」とは
このように、最初は断られたように見えても、その後仕事につながることがある理由。
それは、「新人だからこそできる対応」があるからです。
✅ スピード対応は大きな強み
開業直後の行政書士は、ベテランと比べて案件数も少なく、時間の余裕があるケースが多いです。
つまり、お客様から見れば…
🔶「スピード感をもって対応してくれる」
🔶「自分の話をじっくり聞いてくれそう」
🔶「柔軟に提案してくれそう」
…という安心感があるのです。
実際、私自身も「急ぎで困っている」と言われた案件を、徹夜でこなしたことで信頼を得て、継続的な取引につながったケースが何度もありました。
「ご縁は突然にやってくる」と心得る
名刺交換の場でのたった10秒の会話や、ちょっとした立ち話が、数ヶ月後の依頼につながることもあります。
特に開業初期は、営業で即成果が出ないことに不安になるかもしれませんが…
🌱「ご縁は“あとから”やってくる」
という視点をもつことが非常に大切です。
【体験談】本当にあった「その後依頼されるパターン」
以下は、実際に私の元に届いた依頼のパターンです。
ケース①:「〇〇先生に頼めない案件があって…」
とある建設会社から、建設業許可の変更申請についてご相談いただいた際、
「いつも頼んでいる先生には、あまり得意分野じゃないと言われて…」
「〇〇さんならできるって聞いて、ご連絡しました」
という経緯でご依頼いただきました。
これは“既存の行政書士では対応できない”と判断されたパターン。専門性や得意分野をPRしておくことの大切さを実感した瞬間です。
ケース②:「ちょっとした相談だけど…」
ITベンチャー企業の社長から「システム開発契約書の見直しをしたい」と言われたときも、以前名刺交換しただけの方でした。
「ほんの10分程度の相談」のつもりだったそうですが、丁寧にお話を伺い、改善点を提案したところ、正式に受任に至りました。
「新人は営業がつらい」は本当。でも…
開業間もない頃、「自分には営業なんて無理だ」と思っていました。正直、今でも営業が得意とは言えません。
でも、いくつかの経験を通じてわかったのは…
✅「ただ“名刺を配るだけ”でも、意味はある」
✅「今じゃなくても“未来のご縁”はつながっている」
✅「断られた=興味がない、ではない」
ということ。
営業の成果は、思ったよりも“後から”やってきます。
まとめ:「チャンスは、断られたあとにやってくる」
行政書士として開業したばかりの頃は、「仕事がない」「営業が苦しい」と感じることがあるかもしれません。
でも、たとえその場で断られても、それは“終わり”ではありません。
スピード対応や、丁寧なヒアリング、そして「新人ならではの一生懸命さ」が、後にご依頼という形で返ってくることがあります。
🌸 ご縁は、いきなり花開かなくても大丈夫。
🌸 水やり(=日々の種まき)を続けることで、必ず芽吹きます。
開業直後だからこそ使える「時間」という武器を活かして、焦らず、一歩ずつ信頼を積み重ねていきましょう。
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