ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)のほか、コミュニティFM局の構成作家兼パーソナリティとしての活動もさせていただいております。
新聞にこんな記事が。
規制は最小限でこそ妙味
日本経済新聞2023年3月30日朝刊スポーツ面『順風逆風』
「総じてスポーツのルールは単純なのがいい」
「ルールは最小限に、というのには別な理由もある。自由で規制のないなかで、どう創意工夫するか、自己を律するか。そこにスポーツの妙味があるからだ」
「メジャーには本塁打を放ってもガッツポーズをしない、というならわしがあった。相手への侮辱になりかねないからだ。これも他者への気配りの結果、というのがいいのであって、ルールで決められたからやらない、では美しくない」
「人の自然の営みに任せれば世の中はうまく回る、というレッセ・フェール=自由放任の思想は幻想だとしても、野球くらいは個人の自主、自律への信任があってもいいのではないか」
契約書に関連して、上記を、
「契約条項は最小限に、というのには別な理由もある。自由で規制のないなかで、どう創意工夫するか、自己を律するか。そこにビジネスの妙味があるからだ」
と置き換えたうえで、「あえて言語化しない」方がよいケースもままあります。
とかくリスクヘッジのために想定される範囲内のものは、すべて言語化して契約書に落とし込んでおくのがセオリーです。
一方のリスクヘッジは、他方(お客様)へのリスクの押しつけになりかねません。
現場で取引(ビジネス)をするのは、生身の人間同士。
リスクを押しつけられそうになった立場からすれば、会社同士の付き合いそのものに疑念を抱きかねません(最悪「契約書が原因で」失注となってしまうリスクもあります)。
この点、法的なセオリーには反するものの、ビジネス上の最適解をとって、
「あえて言語化しない(書かない)」
「あえて両者協議にしておく」
「あえて現場での裁量を残しておく」
総合的俯瞰的にこういう提案ができるかというのも、私たち専門家の力量なのではないか?と思うこともままあります。
ビジネスにおいても、レッセ・フェールは幻想だとしても(よって契約書が必要ということになるのですが)、契約書では基本的な枠組みだけを決めておいて、細部については、代表者同士、あるいは現場同士の良識に委ねるというのも、「紛争を予防する」というそもそも論からすれば正しかったりもします(紛争はコミュニケーション不足が原因であることが多いゆえ)。
「枠組みだけの契約書が現場同士のコミュニケーションを促す」という側面もあります。
契約書での言語化の大小は、バランス感覚をもって決めていきたいところです。
ともかく、「現場で機能する契約書」となるよう、様々なバリエーションを研究し、ご相談に最適なご提案をできるように研鑽を積んでまいります。
最後まで、お読みくださりありがとうございました。
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