ビジネス法務

法人?個人?相手別にわかる!契約書の作り方と気をつけたいポイント【2025年版】

ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。

契約書と一口にいっても、「法人間契約」「個人間契約」「法人・個人間契約」では作成時の注意点が大きく異なります。
本記事では、主に中小ベンチャー企業の経営者や経営幹部の方向けに、それぞれの違いと実務のポイントをわかりやすく解説します。

個人間契約の特徴

個人間の契約は、民法で定められている「典型契約」が中心です。たとえば、

  • 売買契約
  • 賃貸借契約
  • 消費貸借契約(お金の貸し借り)

といった取引が多く、市販の契約書ひな形を参考にすれば、基本的な契約であれば対応できることが多いです。

注意が必要なケース(不動産取引など)

ただし、不動産(土地・建物・駐車場)の売買・賃貸借契約などでは、条件が複雑になりがちです。特に、

  • 特定条件での解約
  • 境界未確定地の売買
  • リフォーム・リノベーション可否に関する取り決め

といった場合、市販ひな形ではカバーしきれないことが多く、専門家のチェックが欠かせません。

個人(消費者)の保護とは?

法人と個人の契約では、消費者を守る法律(消費者契約法、特定商取引法)が適用される場合があります。あまりに法人側に有利な条項は無効とされるリスクもあるため、十分な注意が必要です。

トラブルを防ぐ契約書作成のポイント

  • 個人に過度な負担を強いる条項は避ける
  • 契約内容をきちんと説明し、証拠も残す
  • 理解できるわかりやすい言葉で作成する

法人側の立場でも「相手に配慮する」という姿勢が不可欠です。

基本契約と個別契約の関係

法人間では、単発取引よりも継続的取引を前提に契約するケースが一般的です。多くの場合、

  • 取引基本契約(共通ルールを決める)
  • 個別契約(注文書や発注メール)

の2段構えで運用されます。

市販書式だけでは不十分な理由

法人間契約では、

  • 検収方法や納品リスク
  • 知的財産権の取り扱い
  • 契約不適合責任や損害賠償の範囲
  • 業界特有の慣行

などに応じた細かな設計が必要です。市販のテンプレートだけでは不十分なことが多いため、実態に即したカスタマイズが不可欠です。

電子契約・デジタル署名の普及

コロナ禍以降、電子契約がずいぶんと普及しました。適法に電子署名された契約書は原則、紙の契約書と同じ法的効力を持ちます。

消費者契約法・特定商取引法の改正動向

近年は、

  • 過大な違約金条項の無効
  • クーリングオフの拡大
  • 誤認・強引な勧誘に対する取消権の強化

など、消費者保護の流れが一層強まっています。

下請法・独占禁止法との関係性

発注側企業による優越的地位の濫用が問題視され、取引条件の適正化が求められています。法人間契約でも、立場の強弱を踏まえたフェアな設計が重要になっています。

契約テンプレートを鵜呑みにしない

ネット上や市販のテンプレートは参考程度にとどめ、自社のビジネスに即した契約書を整備しましょう。

取引先との関係性に応じた設計を

  • 継続取引なら基本契約+個別契約
  • 単発取引でも書面化を徹底

相手との関係性に応じた契約運用を心がけることが大切です。

専門家を「事前に」使う重要性

トラブルが起こってからでは手遅れです。契約交渉・締結段階から専門家に相談し、未然にリスクを回避することが賢明です。

契約書は、相手を縛るものではなく、取引を円滑に進めるためのチューニングツールです。
リスクを適切に分担し、無用なトラブルを未然に防ぐために、契約書は存在します。

もし、

  • 契約書の作成・見直しに不安がある
  • 新たな取引に備えたい
  • 既存の契約内容を点検したい

といったお悩みがありましたら、ぜひご相談ください。最適な契約戦略をご提案します。

足下を固め、自分自身を守り、そして、「成し遂げたいこと」や「夢」の実現に近づけるための契約知識について、このブログや、音声配信「契約書に強くなる!ラジオ」でお伝えしていきますので、今後ともご期待、ご支援いただければ幸いです。

「こんなことに困っている!」など、契約書に関するご質問がありましたら、ブログ等で可能な限りお応えしますので、上記「お問い合わせ」より、お気軽にお寄せください。
また、商工会議所などの公的機関や、起業支援機関(あるいは各種専門学校)のご担当者で、
「契約知識」に関するセミナー等の開催をご検討されている方
講師やセミナー企画等の対応も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

最後まで、お読みくださりありがとうございました。

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