ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)/ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
はじめに
ビジネスをしていると、ときに予想外のトラブルが起こることがあります。
「こちらは契約どおりに進めていたのに、あとになって話が変わってしまった…」
「最初は良い印象だったけれど、やりとりを重ねるうちに、なんとなく違和感が出てきた…」
実はこうしたケース、多くの方が経験しているものです。
今回は、そんな“ちょっと困った相手”との関係を、契約の観点からどう整えていけばよいか、やさしく解説していきます。
「仲間だし、契約書なんていらないかな?」と思ったこと、ありませんか?
「昔からの仲間だし、契約書なんて大げさなこと言わなくてもいいよね?」
そんなふうに思ってしまう気持ち、私もよくわかります。
でも実は、気心知れた仲間だからこそ、契約書を交わしておくことがとても大切です。
取引が始まると、役割や報酬の考え方にズレが生じてくることも珍しくありません。
そうしたときに、「最初にこう決めていたよね」と確認できる契約書があれば、モヤモヤやトラブルが解決することができます。
契約書は「信頼していないから交わす」ものではなく、
「お互いを大切に思うからこそ、はっきり言葉で確認しておく」ためのもの。
役割や責任を丁寧に明文化することで、むしろ信頼関係がさらに深まることもあるのです。
「信頼してるから契約はいらないよ」は本当に大丈夫?
ビジネスの現場では、「信頼してるからそんなに細かい契約書はいらないでしょ?」と言われることもあるかもしれません。
もちろん、信頼関係はとても大切です。
でも、それを盾にすでに決めたことを覆そうとするような態度が見られたとしたら、それは要注意のサインです。
契約は、あとで話をすり替えられないための「地図」のようなもの。
信頼があるからこそ、安心して進めるための道しるべとして契約が必要なのです。
「自分に都合のよい解釈でゴリ押ししてくる」相手とは?
これまでの契約交渉やトラブル相談の中で感じたのが、
自分に都合のよいように契約内容を解釈し、あとから無理にゴリ押ししてくるタイプの相手が一定数いる
ということです。
たとえば…
- 契約で明確に決まっている内容について、「そんな話じゃなかった」と言ってくる
- 交渉時には曖昧に済ませようとして、後になって自分に有利な解釈を主張してくる
- 「信頼してるんだから、そこは譲ってよ」と感情的に押してくる
このような言動があると、どうしても信頼関係が崩れていきます。
取引先が増えるほど、こうした相手と出会う可能性も増える
事業が拡大し、取引先が増えるにつれて、関わる相手の幅も広がっていきます。
その中には、悪気はなくても契約に対する意識が薄い方や、感情で動きがちな方が混ざってくることもあるでしょう。
だからこそ、
「あれ? ちょっと違和感があるな」
と感じたときに、一度立ち止まって相手との関係性を見つめ直すことが大切です。
契約交渉の段階で“危うさ”を見抜くヒント
では、どうすればこうしたトラブルを未然に防げるのでしょうか?
ポイントは、契約交渉の早い段階で「危うさ」に気づくこと。
たとえば、次のようなサインが見えたら注意が必要です。
- 契約や金額の話になると、急に不機嫌になる or 態度が曖昧になる
- 内容をはっきりさせようとすると、「細かいことばかり言うな」と遮ってくる
- 書面を出そうとすると、「そんなのいらないよ、信頼してるから」と強く押してくる
こういった場面に出くわしたときは、慎重に判断することがとても重要です。
契約書は「お守り」のような存在
契約書というと、「難しそう」「堅苦しい」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
でも実際は、契約書は「いざというときに、自分たちを守ってくれるお守り」のようなものです。
最初にきちんと話し合って形にしておくことで、あとから「こんなはずじゃなかった」というトラブルを防げます。
そして、安心して本業に集中できるようになります。
まとめ|契約は信頼を深める手段のひとつ
- 仲間との関係でも、契約は「信頼の証」としてとても大切
- 「信頼してるから契約はいらない」は、かえって誤解やズレを生むことも
- 自分に都合のよい解釈で押してくる相手には、早めに線引きを
- 契約交渉では、「違和感」に気づいた時点で相手との関係性を見つめ直す姿勢が大事
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