ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
目次
- 1. 質問が出ないのは、疑問がないからではない
- 2. オンラインでは、質問のハードルが高い
- 3. stand.fmを始めた背景にも、同じ問題意識があった
- 4. ラジオの「匿名性」からヒントを得た
- 5. 冒頭で伝えている2つのこと
- 6. 契約書セミナーで質問が重要な理由
- 7. オンラインでも質問しやすい契約書セミナーを
1. 質問が出ないのは、疑問がないからではない
契約書に関するオンラインセミナーを担当していると、毎回感じることがあります。
それは、受講者の方が「質問したくない」のではなく、質問しにくいだけだということです。
特に契約書や法律に関するテーマでは、
「こんな初歩的なことを聞いてよいのだろうか」
「他の受講者の前で質問するのは恥ずかしい」
「会社名や名前が出ると質問しづらい」
という心理が働きやすくなります。
しかし、契約書のセミナーでは、受講者からの質問が非常に重要です。
なぜなら、契約書は、業種、会社規模、取引上の立場、相手との力関係によって、読み方も注意点も変わるからです。
同じ契約書でも、
- 自社が売主なのか、買主なのか
- 発注者なのか、受注者なのか
- 大企業側なのか、中小企業側なのか
- 継続取引なのか、単発取引なのか
こうした文脈によって、契約書の見え方は大きく変わります。
だからこそ、オンラインセミナーでも、受講者の方が質問しやすい空気を作ることを大切にしています。
2. オンラインでは、質問のハードルが高い
会場開催のセミナーであれば、終了後に個別で質問に来ていただけることがあります。
「実は、うちの会社ではこういう契約書で困っていまして」
「今日の話でいうと、このケースはどう考えればよいですか」
とご相談いただくことも少なくありません。
ところが、オンラインセミナーでは、この自然な質問の機会が生まれにくくなります。
ZoomやTeamsで「質問がある方はミュートを外してどうぞ」と言っても、いきなり発言するのはかなり勇気がいります。
また、「チャットで質問してください」と言っても、全員宛てのチャットでは、会社名や氏名が表示されることがあります。
そうすると、受講者の方はどうしても遠慮します。
| 質問方法 | 受講者が感じやすいハードル |
|---|---|
| マイクをオンにして質問する | 全員の前で話すのが緊張する |
| 全員宛てチャットで質問する | 氏名や会社名が見えるのが気になる |
| セミナー後に個別質問する | オンラインでは機会を逃しやすい |
| 質問しない | 疑問が解消されないまま終わる |
オンラインセミナーで質問が出ないからといって、受講者に疑問がないわけではありません。
質問するための心理的ハードルが高いだけなのです。
3. stand.fmを始めた背景にも、同じ問題意識があった
この「オンラインで質問しづらい」という課題意識は、私が2021年にstand.fmで『契約書に強くなる!ラジオ』を始めた理由の一つでもあります。
コロナ禍以降、オンラインで契約書セミナーを担当する機会が増えました。
一方で、会場開催のように、終了後に受講者の方から自然に質問をいただく機会は減りました。
契約書は、本来であれば個別事情を踏まえて考えるべきテーマです。
しかし、オンラインでは、受講者の方が疑問を持っていても、その場で質問しづらい。
その結果、せっかくセミナーを受けていただいても、具体的な不安や疑問が解消されないまま終わってしまう可能性があります。
そこで、もう少し気軽に契約書の話に触れられる場を作りたいと考え、音声配信を始めました。
- ラジオのように、移動中や家事の合間に聴ける
- 難しい法律用語ではなく、日常の言葉で契約書を学べる
- レター機能やSNSを通じて、気軽に質問や感想を送れる
そのような場を作ることで、契約書に対する心理的なハードルを少しでも下げたいと考えました。
4. ラジオの「匿名性」からヒントを得た
私は、stand.fmのほか、コミュニティFMでラジオ番組のパーソナリティを担当してきた経験もあります。
ラジオ番組を続けていると、リスナーの方は、ラジオネームがあるとメッセージを送りやすいのだと感じます。
- 本名では言いにくいことでも、ラジオネームであれば送れる
- 自分だけの悩みだと思っていたことも、番組で取り上げられると他の人の役にも立つ
- パーソナリティが受け止めてくれる安心感があるから、質問や感想を送れる
この「ラジオ的な空間作り」は、オンラインセミナーにも応用できるのではないかと考えました。
そこで、オンラインセミナーの冒頭では、質問についての声がけを少し工夫しています。
5. 冒頭で伝えている2つのこと
私がオンラインセミナーの冒頭で意識して伝えていることは、大きく2つあります。
1つ目は、あなたの疑問は、他の受講者の疑問でもあるということです。
契約書の読み方は、義務教育でも大学でもほとんど習いません。
会社に入ってからも、体系的に学ぶ機会がないまま、自己流で対応している方が多い分野です。
ですから、契約書について疑問があるのは当然です。
私はよく、
「質問は、他の受講者の方への社会貢献だと思ってください」
とお伝えしています。
「自分だけが分かっていないから質問する」のではなく、「他の人の理解にも役立つから質問する」。
そう捉えていただくと、質問しやすくなります。
2つ目は、匿名希望なら、講師宛てのダイレクトチャットでよいということです。
オンラインセミナーでは、全員宛てのチャットに質問を書くことに抵抗がある方もいます。
そこで、
「会社名やお名前を出したくない方は、講師宛てのダイレクトチャットで送ってください。匿名希望のご質問として、私の方で内容をぼかして取り上げます」
とお伝えします。
これにより、受講者の方は質問しやすくなります。
もちろん、実名で質問していただければ、その業種や会社の状況に合わせて、より具体的に回答しやすくなります。
一方で、匿名であっても、質問の核心が分かれば、全体に役立つ形で回答できます。
6. 契約書セミナーで質問が重要な理由
契約書のセミナーでは、質問があることで内容が深まります。
たとえば、
「損害賠償の上限はどう考えればよいか」
「注文書だけで進めている取引は危ないのか」
「相手の契約書がかなり不利な場合、どこまで交渉すべきか」
こうしたテーマは、立場や取引内容によって答えが変わります。
契約書チェックの第一歩は、条文ではなく立場確認です。
- 自社がお金をもらう側なのか、払う側なのか
- 仕事を依頼する側なのか、受ける側なのか
- 相手との力関係はどうなのか
- 継続取引なのか、単発取引なのか
この文脈を踏まえないと、契約書の実務的な判断はできません。
そのため、受講者の方から具体的な質問をいただくことで、セミナー全体の解像度が上がります。
一人の質問が、他の受講者の理解を助ける。
これが、契約書セミナーにおける質問の大きな価値です。
7. オンラインでも質問しやすい契約書セミナーを
良いセミナーは、講師だけで作るものではありません。
受講者の方からの質問や反応によって、場の温度が変わります。
「ここはもう少し具体例を足した方がよさそうだ」
「このテーマは、実務上かなり困っている方が多そうだ」
「この説明は少し難しかったかもしれない」
講師側も、質問を通じてセミナーの進め方を調整できます。
契約書の知識は、法務担当者だけのものではありません。
営業、総務、経理、現場、経営者が知っているだけで、防げるトラブルがあります。
だからこそ、契約書セミナーでは、できるだけ質問しやすい場づくりを大切にしています。
弊所では、契約書の基礎知識、営業現場で使える契約実務、契約書チェックの考え方など、オンライン・対面いずれの形式でも研修に対応しています。
単に契約書の条文を解説するだけでなく、受講者の方が質問しやすく、実務に持ち帰りやすいセミナーを心がけています。
契約書に関する研修は、内容そのものだけでなく、受講者が安心して質問できる設計も大切です。
オンライン・対面を問わず、実務に持ち帰れる契約書研修をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

【執筆者】
ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
現場で実際に使える判断基準を前提に、契約実務を整理しています。
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といったご質問がありましたら、お気軽にお寄せください。
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また、契約書の作成・見直し、契約実務の整理、
セミナー・講座のご相談(オンライン可)にも対応しています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。











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