セミナー・研修

【実務ノート】オンラインセミナーで受講者を引き込むために工夫していること

ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。

目次


1. オンラインは反応が見えにくいからこそ、話し方の設計が必要になる

契約書、コンプライアンス、ビジネス法務などのテーマで研修講師を担当していると、会場開催とオンライン開催では、少しだけ話し方のコツが違うと感じます。

もちろん、どちらも「人に向けて話す」という意味では同じです。

会場で目の前に受講者がいる場合も、ZoomやTeamsを通じて画面の向こうに受講者がいる場合も、伝える相手がいることに変わりはありません。

ただ、オンラインセミナーでは、受講者の反応が見えにくくなります。
会場であれば、うなずき、表情、メモを取る様子、少し困った顔などから、受講者の理解度を感じ取ることができます。

一方、オンラインでは、カメラオフの方も多く、講師側からは反応が見えにくいことがあります。
そのため、講師の間ではよく、

「オンラインは反応が分からないから話しづらい」

と言われます。
たしかに、その感覚は分かります。しかし、私はそれを言い訳にはしたくないと思っています。


2. オンラインセミナーも「生放送」である

オンラインセミナーは、録画教材ではありません。
通信回線を通じて行っているだけで、画面の向こうには、その時間に参加してくださっている受講者の方がいます。
つまり、オンラインセミナーも一つの「生放送」です。

講師が資料を読み上げるだけであれば、録画教材でも十分です。
しかし、ライブで研修を行う意味は、その場に参加している受講者へ向けて、今この瞬間に話していることにあります。
だからこそ、講師側は「反応が見えないから話しづらい」と考えるのではなく、画面の向こうにいる受講者を意識して話す必要があります。

この感覚は、ラジオに近いものがあります。
私はstand.fmで『契約書に強くなる!ラジオ』を配信しており、コミュニティFMでも番組のパーソナリティを担当しています。

ラジオでは、目の前にリスナーはいません。
それでも、マイクの向こうに聴いてくださっている方がいることを想像しながら話します。
この経験は、オンラインセミナーでの進行にも大きく役立っています。


3. 受講者を引き込む「呼びかけ」の力

オンラインセミナーで私が意識していることの一つに、定期的な「呼びかけ」があります。
テレビ番組やラジオ番組では、司会者やパーソナリティがよく、

「お茶の間の皆さん」
「リスナーの皆さん」
「ご覧の皆さん」

と呼びかけます。
この一言が入るだけで、聞いている側は「自分に向けて話してくれている」と感じやすくなります。

オンラインセミナーでも同じです。私は、話の区切りや重要なポイントの前で、

「受講者の皆さん」
「ご参加の皆さん」
「ここからが大事なところです」

と意識的に呼びかけるようにしています。

たとえば、契約書の研修で重要な話に入る前には、

「受講者の皆さん、ここからは実務でかなり重要な話です」

と一言挟みます。

これだけで、画面越しでも受講者の意識がこちらに向きやすくなります。
オンラインでは、どうしても集中力が分散しがちです。

  • メール通知が来る
  • 別の資料が気になる
  • 周囲の音が入る
  • つい別作業をしてしまう

こうした環境の中で、話の節目ごとに呼びかけを入れることは、受講者の意識をセミナーに戻す「頭出し」の役割を果たします。


4. 台本にも、あえて呼びかけを書いておく

この呼びかけは、思いつきで入れているわけではありません。
私はオンラインセミナーの進行メモや台本に、あえて、

「受講者の皆さん」
「ここは大事です」
「少し立場を変えて考えてみてください」

といった言葉を書き込むことがあります。

理由は、講師である自身が「画面の向こうに受講者がいる」という意識を忘れないためです。
オンラインで話していると、どうしてもパソコン画面や資料に向かって話している感覚になりがちです。

しかし、本来話している相手は、画面ではありません。受講者の方々です。
だからこそ、意識的に呼びかけを入れ、受講者に向けて話している状態を作る必要があります。
これは、オンラインセミナーにおける小さな工夫ですが、効果は大きいと感じています。


5. オンラインでは、詰め込みすぎないことも大切

もう一つ意識しているのは、オンラインでは情報を詰め込みすぎないことです。
会場開催であれば、場の空気や受講者の反応を見ながら、多少多めの情報を扱うこともできます。

しかし、オンラインでは、情報量が多すぎると受講者が消化しきれません。
特に契約書や法律の話は、ただでさえ難しく感じられやすい分野です。

そこで、オンライン研修では、あれもこれも広く浅く詰め込むよりも、重要なテーマを絞って、実務で使える形まで深掘りすることを重視しています。

たとえば、契約書の研修であれば、

  • 損害賠償条項をどう読むか
  • 検収条件をどう見るか
  • 契約解除の条項で何を確認するか
  • 営業担当者がお客様から聞かれたとき、どう説明するか

このように、受講者が自分の業務に持ち帰れるところまで落とし込むことが重要です。
セミナーも同じで、受講者の実務の解像度を上げる場でなければなりません。


6. オンラインでも伝わる研修を設計する

オンラインセミナーは、会場開催の劣化版ではありません。

  • 移動時間が不要で、全国どこからでも参加できる
  • 録画や資料共有とも相性がよい
  • 業務の合間に参加しやすい

こうしたメリットがあります。

一方で、受講者の反応が見えにくく、集中力が分散しやすいという課題もあります。
だからこそ、講師側には、オンラインならではの設計が必要と考えます。

  • 定期的に呼びかける
  • 重要な話の前に頭出しをする
  • 情報を詰め込みすぎない
  • 一つのテーマを実務で使えるところまで深掘りする
  • 画面の向こうにいる受講者を意識して話す

こうした工夫を積み重ねることで、オンラインでも十分に伝わる研修は可能です。

弊所では、契約書の基礎知識、営業現場で使える契約実務、コンプライアンス、ビジネス法務などのテーマで、オンライン・対面いずれの形式でも研修に対応しています。

単に知識を伝えるだけでなく、受講者の方が集中しやすく、実務に持ち帰りやすい研修を心がけています。

オンラインセミナーは、画面越しの一方通行ではありません。
マイクの向こう、画面の向こうにいる受講者の皆さんへ向けて、どれだけ具体的に語りかけられるか。
そこに、オンライン研修の品質が表れるのだと考えています。


【音声解説】

本記事の内容は、
音声配信『契約書に強くなる!ラジオ』でも解説しています。
▽ 音声はこちら(stand.fm)


【執筆者】

ビジネス法務コーディネーター®/行政書士 大森 靖之
現場で実際に使える判断基準を前提に、契約実務を整理しています。


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「この場合はどう考える?」「ここが気になる」
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また、契約書の作成・見直し、契約実務の整理、
セミナー・講座のご相談(オンライン可)にも対応しています。
上部の「問い合わせフォーム」よりご連絡ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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