ビジネス契約書専門の行政書士(特にIT&クリエイター系の契約書に強い)
ビジネス法務コーディネーター®の大森靖之です。
はじめに
営業の仕事をしていると、見積書や請求書だけでなく、
契約書にも目を通す機会が増えてきます。
とはいえ…
「契約書って、文章が固くて読みにくい…」
「この限りではないって、どういう意味??」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
今回は、契約書によく出てくるけれど、意外と意味が分かりにくい表現――
「この限りではない」という言葉について、わかりやすく解説していきます!
「この限りではない」は“例外”のサイン!
まず結論からいうと、
「この限りではない」=“例外があります”という意味です。
契約書では、まず「原則(ルール)」を決めてから、
そのあとに「例外(イレギュラー)」を続けて書くことがよくあります。
たとえば、こんな感じ。
例①:契約期間に関する条文
この契約の期間は1年間とする。
ただし、双方が合意した場合は、この限りではない。
この場合、
- 原則:契約期間は1年
- 例外:お互いがOKすれば、1年でなくてもよい
という意味になります。
「この限りではない」という言葉は、
それまでに書いたルールを“絶対”じゃなくするための逃げ道のようなもの。
「この」が何を指しているのか?と考えを巡らすのではなく、「この限りではない」という英語で言うところの「熟語」として取り扱うのが契約書を読みこなすコツのひとつです。
じゃあ、もっとわかりやすく書けないの?
実は最近、契約書の書き方も少しずつ変わってきていて、
「この限りではない」という表現を、
もっとやさしい言葉に言い換えるケースも増えてきました。
たとえば…
📌 言い換えパターン①
「ただし、○○の場合を除きます」
Before:
納期は発注日から30日以内とする。ただし、特別な事情がある場合はこの限りではない。
After:
納期は発注日から30日以内です。
ただし、特別な事情がある場合は除外します。
📌 言い換えパターン②
「○○のときは、別の対応をします」
Before:
支払いは月末締め翌月末払いとする。ただし、双方が合意した場合はこの限りではない。
After:
支払は月末締め翌月末払いとします。
ただし、双方合意した場合は、別途支払方法とすることもできます。
📌 言い換えパターン③
「原則として○○ですが、例外もあります」
Before:
再委託は禁止する。ただし、当社が承諾した場合はこの限りではない。
After:
原則として、再委託は禁止とします。
ただし、事前に通知の上、当社が承諾した場合は認めることがあります。
まとめ:まずは「例外がある」と思えばOK!
いかがでしたか?
契約書の「この限りではない」という言葉、
難しそうに見えても、意味はシンプル。
✅ それまでのルールに、例外があるという意味
✅ やさしい言葉に言い換えるなら「○○の場合は除きます」「例外があります」など
✅ 営業現場でも、柔軟な対応を示す場面でよく使われる
こうした契約書の言い回しに少しずつ慣れていけば、
「読むのがツラい…」と感じていた契約書も、ぐっと読みやすくなるはずです!
まずは身近な条文から、少しずつ読み解いていきましょう。
参考記事
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